カーリースはメンテナスが全部リース会社任せでOKだから楽で助かる!確かにそれは間違いではありません。しかし、安全なカーライフを送るために最低限の点検はユーザー自身が行う必要があります。もちろんすべてをチェックするのは大変ですが、ポイントを押さえれば決して難しくありません。
中でも絶対にやっておくべきポイントがタイヤです。タイヤは、わずかな不具合でも即事故につながる重要な部分。最低限スリップサインの確認と、空気圧のチェック、異物の確認などは行うべきです。でも最低限のチェックとはいってもやったことのない人にとっては簡単ではありません。確認やチェックをどのように行えばいいのか。明日からでも実践できるタイヤの点検やチェック方法についてご紹介します。
目次
タイヤの日常点検は
6つのポイントをチェックする
クルマと路面を繋いでいる唯一の部分がタイヤです。クルマが走るのも曲がるのも止まるのも、全てこのタイヤがあってこそのもの。タイヤがグリップしなければどれだけエンジンパワーがあっても、強力なブレーキを搭載していても、クルマはそのパフォーマンスを発揮することはできません。
だからこそ、普段の日常点検でもタイヤをチェックすることが欠かせないのです。ではどのようなポイントをどのようにして、どこをチェック&確認すればいいのか?
それはこの6つのポイントです。
- 1.空気圧が適正か
- 2.溝は充分に残っているか
- 3.偏摩耗していないか
- 4.キズはないか
- 5.ヒビ割れはないか
- 6.サイド部が膨らんでいないか
これらの6つのポイントを、順にチェックしてください。走行前のわずかな時間で点検は可能です。さらに詳しいそれぞれの点検方法を順に紹介していきます。
1.空気圧が適正か
まず、タイヤの点検の基本は空気圧チェックです。タイヤの空気圧が適正でないと、燃費の悪化や、グリップ力の低下、タイヤの偏摩耗などが起きてしまいます。空気圧は高すぎても低すぎてもダメですが、通常は高すぎるということはあまりないでしょう。未点検期間が長ければ空気圧は低くなっているはずです。空気圧が低下している状態は安全上も燃費的にも良くないので最低でも月に一度はチェックを行いましょう。適正な空気圧はクルマによって異なりますが通常は運転席側のドア付近や給油口に空気圧表示シールが貼られているのでそちらで確認します。
空気圧を測る際は、走行前の冷えている時に測るようにします。タイヤが温まった状態では、空気圧が高めに表示される場合があるからです。やり方はシンプルです。まずエアゲージを用意したらタイヤのエアバルブのキャップを外し手で外し、エアゲージの先端をエアバルブに押し当てて空気圧を測定します。先端を押し当てる角度に注意してください。正しく押し当てないとエアが抜けてしいます。空気圧が測れたら指定された空気圧と比較し、低すぎる場合は指定の空気圧まで空気を注入します。
空気の注入は市販のエアコンプレッサーなどが簡単です。足踏み式と電動式がありますが、楽なのは電動式です。電動式のエアコンプレッサーの中にはアタッチメントを変えるだけでボールや自転車、家庭用ビニールプールなどといったレジャー用品にも使用できものもあるのでタイヤの管理以外にも便利に使えます。価格も数千円程度と比較的お手頃なので一つ購入しておくとよいでしょう。
セルフガソリンスタンドの
タイヤ用空気充塡機の使い方
もしエアゲージやエアコンプレッサーがない場合は、わざわざ買いに行かなくてもガソリンスタンドでも空気圧の調整は可能です。セルフガソリンスタンドにもタイヤ用空気充塡機は設置されているのでそちらを利用するといいでしょう。
セルフガソリンスタンドなどに用意されているタイヤ用空気充塡機(空気入れ)ですが、その種類には主に2つのタイプがあります。1つが「エアタンク型」と呼ばれるタイプです。こちらはその名の通り球形の金属製タンクに空気圧メーターやついており、さらにホースがつながっています。そして、ホースの先端をタイヤのエアバルブに差し込むだけで簡単に空気圧が計測できるというもの。
このタイプは据え置き型ではなく持ち運びが可能なので、4つのタイヤすべてに簡単にアクセスでき使い勝手に優れています。さらに空気圧を測れるだけでなく、空気圧測定後ホースを抜かずにメーターの空気圧の数値をそのクルマの適正値となるように「+」や「ー」ボタン、またはダイヤルなどで調整すると、その適正値まで勝手に空気を注入してくれます。4輪同じように調整してキャップをはめれば完了です。
もう1つのタイプが「据え置きプリセット型」です。このタイプはその名の通り据え置き型なので、自由に場所を移動することができません。そのためクルマをその空気充塡機に近づけないといけません。使い方自体は簡単でタイヤにホースが届く位置までクルマを移動したら、先に空気圧の適正値をデジタル式ならボタンで、アナログ式ならダイヤルを使ってプリセット(設定)しておきます。
セットしたらホースを伸ばしタイヤのエアキャップを外してホースの先端をエアバルブに差し込みます。すると、そのプリセットした空気圧まで自動的に空気を注入してくれるのです。
据え置きプリセット型にはアナログタイプとデジタルタイプがあり、基本的な機能は同じですがアナログタイプは空気が注入されている間ベルのような音が鳴り続けるのでこの音が止まったらエアの適正値まで注入されたということになります。
デジタル式も基本は同じですが、ベルの音ではなくデジタルの表示部分に終了などの表示が出て知らせてくれます。先に適正な空気圧をプリセットしておくという点を知っておけば据え置き型はエアタンク型のように空気圧を測ってから、手動で調整しつつ空気を注入する手間がかからないので操作はより簡単といえるでしょう。
ただし、据え置き型なのでホースをもって各タイヤまで移動しなくてはいけないのため、ミニバンなど大きなクルマだと少しだけ面倒かもしれません。
残りミゾの点検と
スリップサインが出ていたら交換
2.溝は充分に残っているか
空気圧のチェックと違い、特別な器具などもいらず目視だけでチェックできるのが残りミゾの点検です。こちらも非常に重要です。ミゾが十分に残っていないと雨の日の高速道路等では大変危険です。タイヤの溝の役割は排水であり路面に浮いた水をこのミゾによってかき出すことでタイヤのトレッドと路面をダイレクトに密着させ、グリップ力を確保しています。
もし、このミゾが浅く十分な排水性が発揮されない状態だと路面にたまった水の上でタイヤが浮いてしまう状態、いわゆるハイドロプレーニング現象が発生し、ハンドルやブレーキが効かなくなってしまいます。こうなってしまうとクルマは滑走状態となり、ドライバーは何もできません。ハンドルを切ってもブレーキを踏んでも無駄です。タイヤと路面の間の水がなくなりトレッドが路面に接地するまでの間、スピンしないよう、他のクルマや衝突しないよう、ただ祈るしかありません。そのようなことにならないように、ミゾが十分に残っているか常に点検し把握しておかなくてはいけないのです。
点検のしかたは簡単です。タイヤのトレッドにあるミゾの中にはスリップサインというものが設けられています。これはミゾの中にある少し高くなったでっぱりのことで、このでっぱりが表面に露出しタイヤのトレッド面につながってしまったら、そのタイヤは寿命ということです。
タイヤの残りミゾは保安基準では1.6mm以上であれば合格で1.6mm未満の場合は車検に通りません。ミゾの残りが1.6ミリ以下になる目安として、このスリップサインが設けられているのです。
スリップサインはすべてのミゾに設けられており、それらのうち一カ所でも露出してしまったらそのタイヤは寿命であり、交換です。しかし、実際にはスリップサインが露出するギリギリまで使い切るのはおすすめできません。ミゾが明らかに浅くなっていたら早めにタイヤ交換をするのが正解です。タイヤ交換費用をケチって事故などになったら目も当てられません。
なお、カーリース車両の場合は、タイヤ交換の前にはカーリース会社にタイヤ交換をどこで行えばいいのか確認するといいでしょう。リース会社によっては提携工場での交換が指定されている場合があります。その場合勝手な判断でタイヤを交換してしまうとのちのちクルの返却の際にペナルティ(違約金)が発生する可能性もないとは言えません。注意してください。
偏摩耗やキズ、ヒビ割れ、
サイド部の膨らみなども確認
3. 偏摩耗していないか
空気圧などがキチンと調整されていないとおこりやすいのがタイヤの偏摩耗です。偏摩耗とはタイヤが均等に摩耗しておらず、接地面に極端にすり減っている場所などがある状態です。偏摩耗は走行中の振動や騒音の原因になるだけでなく、タイヤ寿命を早めたり、タイヤが本来の性能を発揮できないなどの悪影響が与えます。
タイヤの偏摩耗の原因は、空気圧が適正でなかったり、タイヤローテーションをせずに使用していた場合に起こりやすくなるとされています。タイヤローテーションとは、定期的なタイヤの位置交換です。タイヤは同じ位置のまま長期間使用していると、タイヤの内側と外側、前輪と後輪で摩耗の進行具合に差ができたり、偏った摩耗(つまり偏摩耗)を起こしてしまうのです。こういったことを予防するためには定期的なタイヤの位置交換、つまりタイヤローテーションを行うのが良いとされています。
タイヤローテーションはしっかりしたジャッキなどがないと難しいので、ディーラー、カー用品店、タイヤショップなどで行ってもらうといいでしょう。部品の交換などを伴うわけではないので、カーリース車両でも個人で行って問題はないでしょう。タイヤローテーションを行うことで4つのタイヤを均一に摩耗させることができ、その分タイヤも長持ちします。5,000km走行につき1回くらいがタイヤローテーションの目安です。ただしやらなかったといって急激にタイヤの寿命が短くなるわけではありません。
4.キズはないか
キズや、ひび割れチェックも必須です。これらはパンクやバーストなど重大な事故にもつながる危険な兆候なのでトラブルを未然に防ぐためにも大切なポイントです。もし発見したキズが、タイヤ内部のコード(タイヤの形状を保持するための補強材。ポリエステルやナイロン、アラミドなどが使用されている)にまで達していた場合、現状は空気漏れがなくても、突然タイヤがバーストする恐れがあります。深い傷を発見したらすぐにタイヤを交換しましょう。カーリース会社に連絡を行い、どこで交換すればいいか確認して、適切な修理工場もしくはタイヤショップで点検&交換を行ってください。
5.ひび割れはないか
キズではなくタイヤの表面のひびやシワも要注意ポイントです。深さがなく表面だけのものであればそのまま使用しても特に問題はありません。ひびがはっきりとしており深さが1mmほどある場合は、使用は可能ですが、そろそろ限界が近づいているという証拠です。ひびがどれくらい進行したか以後頻繁にチェックをしておいたほうが良いでしょう。
もしひびが明らかに深く、タイヤの奥くまで到達している場合はすぐにタイヤを交換してください。非常に危険です。バーストなど最悪の事態の一歩手前といっていいでしょう。とにかく早急に前述のようにカーリース会社に問い合わせてから一日でも早くタイヤ交換を行いましょう。
6.サイド部が膨らんでいないか
タイヤのサイドウォールが不自然に膨らんでいないかも確認しましょう。これはそれぞれのタイヤを外から目視するだけでわかるはずです。もし不自然な局部的な膨らみがあった場合は、タイヤ内部でコードが切れている可能性があります。その場合非常に危険です。いつバーストしてもおかしくありません。すぐにカーリース会社に連絡をして、ディーラーやタイヤショップなどで交換してもらいましょう。とにかく危険なのですぐにでもプロによる点検と交換を行ってください。
ツヤ出しようのタイヤワックスの
使用にも注意しよう
タイヤの日常点検は以上6つのポイントで行えばOKです。どれも簡単で空気圧以外は目視で行えるものばかりです。こういった日常的な点検、観察を、常に行っていれば異常が起きた場合にもすぐに気づくことができ最悪のケースを免れることができるでしょう。月に一度くらいであればそれほど負担でもないはずなので、是非日ごろからの習慣にしてみてください。
点検意外にもタイヤのお手入れに関して、一点注意しておくべきことがあります。それはタイヤワックスの使用です。塗ることでタイヤに黒々としたつやを出してくれるタイヤワックスですが、製品によってはタイヤのひび割れを助長してしまうものもあるので気を付けてください。
特に注意したいのが油性のタイヤワックスです。タイヤのゴムには劣化防止剤が配合されていますが、タイヤに油性のタイヤワックスを塗ると、その油分と劣化防止剤とが反応してそれがタイヤの外に出てしまいゴムの劣化を早め、ひび割れが起きる可能性があるからです。もしタイヤワックスを使っていて、以前よりひび割れが増えたな、など違和感を覚えたらすぐに使うのをやめてください。
タイヤの掃除に関しては、基本は水洗いだけでOKです。もし、どうしてもつやを出したいというなら、ゴムに対しての攻撃性があまりない、水性のタイヤワックスを使うことをおすすめします。