スズキアルトとダイハツミラ イースは、どちらも軽自動車の定番車種です。流行りのスーパーハイトワゴンではなく伝統的な軽セダン(セダンといってもハッチバック車ですが)で、軽自動車らしいコンパクトな車種でありなんといっても経済性が高いことが一番の魅力です。

アルトとミラといえばボンバン(軽ボンネットバン。ボンネットのある軽の4ナンバー貨物車)時代から続いているライバルであり、そのライバル関係は40年以上にわたって続いています。かつてはスバルのヴィヴィオや三菱のミニカ、ホンダのトゥデイなどといったライバルもいましたが、今や軽セダンの新車はこの2車種のみとなり、ハイトワゴンでも、スーパーハイトワゴンワゴンでもない、とにかく経済的でお得な新車の軽自動車が欲しいとなればこの2車のどちらかとなるのは間違いありません。

そんなゴリゴリのライバル関係にあるスズキアルトとダイハツミラ イースですが、もしあなたが選ぶとするならばどちらにするでしょう。経済的なのはどちらで装備が充実しているのはどちらなのか。単純にデザインや快適性についても違いがあるのか。非常に気になります。そこでこの2車を改めて比較してみました。購入を検討されている方は是非参考にしてみてください。

アルトとミラ イースは
それぞれどんなクルマなのか

アルトとミラ イース

アルトはスズキの軽セダンで、初代モデルは1979年に発売されました。使い勝手のよい2ボックススタイルで、実用的な居住スペースを持ちなおかつ車両価格がリーズナブルなうえ燃費にも優れているということから、軽のベーシックカーとして長年愛されてきました。

特に初代は47万円という当時としても破格の新車価格を打ち出し大ヒットとなり、また、軽ボンネットバンというジャンルを確立した歴史的なモデルでもあります。

現行モデルは2021年12月にフルモデルチェンジを果たした9代目モデルで、従来のアルトよりも柔らかで個性的なデザインが大きな特徴となっています。かつてラインナップされていた軽ボンネットバングレードはなくなり、現行モデルは軽セダングレードのみとなっています。

ミラ イースはダイハツの軽セダンでミラをベースとした5ドアハッチバックセダンとして2011年に発売されました。低燃費・低価格・省資源を追求した第3のエコカーとして高く評価され、現行モデルは2017年にフルモデルチェンジを果たしたミラ イースとしては2代目、ミラシリーズとしては9代目モデルになります。

シンプルでシャープなエクステリアが特徴で、派手さはありませんが堅実な作りで軽量ボディによる優れた燃費が高く評価されています。商用グレードの軽ボンネットバンはなく、アルトと同様全て乗用グレードのみとなっています。

ボディサイズや
室内寸法に違いはあるのか

アルトとミラ イースのボディサイズと室内寸法を比較

まずはアルトとミラ イースのボディサイズと室内寸法を比べてみましょう。一覧にしたのがこちらです。

アルトHYBRID X(2WD) ミラ イースG“SA III” (2WD)
全長 3,395㎜ 3,395㎜
全幅 1,475㎜ 1,475㎜
全高 1,525㎜ 1,500㎜
ホイールベース 2,460㎜ 2,455㎜
車重 710kg 670kg
室内長 2,015㎜ 2,025㎜
室内幅 1,280㎜ 1,345㎜
室内高 1,260㎜ 1,240㎜

 

どちらも軽自動車枠いっぱいのサイズとなっているので全長と全幅は全く一緒です。規格内で最大限広く作ろうとすれば当然のことですね。違いとしては全高です。アルトのほうが25㎜ほど高くなっています。見た目のイメージ通りですが思いのほか差は大きくありません。

車重に関してはミラ イースのほうが50kgほど軽くなっています。これは、アルトはハイブリッドのためバッテリーなどの分重くなっているのでしょう。室内の寸法ですが、キャビンが大きく見えるアルトのほうが広そうに見えますが数値的にはミラ イースのほうが室内高以外広いということがわかります。とはいえ違いはわずかでほぼ同じようなサイズといっていいでしょう。

エクステリアを比べてみると
どちらが魅力的なのか

アルトとミラ イースのエクステリアを比較
(引用:スズキ公式、ダイハツ公式HP)

エクステリアを見てみましょう。スズキアルトはフルモデルチェンジを一昨年実施したばかりの新しいクルマです。そのため目新しさがあります。ベーシックカーという立ち位置は変わりませんが見た目がかわいらしく親しみやすい愛着のわく個性的なデザインを採用しています。

先代はシンプルかつクリーンで、どこかスポーティな印象がありましたが、現行モデルはそれよりもずっとカジュアル。背も高くなっていてルーフ高に合わせて前後のピラーが立っているなっているので居住スペースのボリューム感が大きく増しています。

ぱっと見で先代よりも広い室内空間となっていることが感じられます。デザイン的には年齢性別を問わず似合いそうなやさしげなスタイルになっており高級感というのはあまり感じられませんが、それでいて安っぽさがなく質感の高さが感じられます。

一方ミラ イースのエクステリアデザインですが、こちらはミラシリーズから続く、シンプルでクリーンそしてシャープな印象となっています。背はアルトよりも低く見えますが実はわずか25㎜低いだけなのでほぼ変わりません。フロントウインドウの傾斜が緩くウインドウ面積が大きいので低く見えるのかもしれません。

現行型ミラ イースの登場はアルトよりも前の2017年5月なので、悪い言い方になりますがちょっと古臭ささも感じます。背が低く、シンプルでシャープなデザインですが、オーナーカーというよりも社用車的な雰囲気が漂っています。

「低燃費」、「低価格」、「安全・安心」を追求した真面目なベーシック軽セダンという意味ではこれでいいのでしょうが、個人的な意見として新しさが感じられるアルトと比べると古いというか質感的にもちょっと物足りないところがあります。ベーシックカーは、こういった個性を主張しすぎないほうが良いという考え方もありますのであくまで個人的な感想ですが。

インテリアはどちらもシンプルで
使い勝手に優れている

スズキアルトのインテリア
(引用:スズキ公式HP)

インテリアを比べてみましょう。シートはなかなかおしゃれなデザインでシート表皮に肌ざわりのいいデニム調を採用しています。シートカラーに合わせてインテリアのトリム類にもブルーを採用。全体的な質感も向上しておりカジュアルな印象が強くしています。先代に比べると乗用車的なとても上質なイメージにまとめられています。

また、インパネ部分は楕円形のモチーフを使ってデザインされ柔らかな印象。インテリアの装飾やパネル類もより立体的なものとなっていてベーシックカーとしては非常に高い質感があります。ドリンクホルダーや収納スペースも用意されており実用性にも優れています。これだったら決して社用車や営業車には見えないでしょう。アルトは軽自動車のエントリーカーというよりも、カジュアルでベーシックなオシャレなハッチバック車といったイメージです。

ダイハツミライ―スのインテリア
(引用:ダイハツ公式HP)

ミラ イースのインテリアはとてもエクステリアと同様直線基調でシンプルなブラックをベースとした引き締まったイメージとなっています。上級グレードはドアハンドルやシフトレバーボタン、ステアリングホイールなどにメッキ加飾が施され、質感も決して低くはありません。

アルト同様にインパネの中央にシフトレバーが配されており操作性は非常に高そうです。ドリンクホルダーや収納スペース、センターコンソールにはトレーなど十分な収納スペースもあって、使い勝手に優れています。

ただ直線基調でシンプルなデザインは悪くないのですがちょっと味気なさも少し感じます。特にエントリーグレードになるとかつての軽ボンバンのような商用車的なイメージで、質感の高さはあまり感じられません。

社用車などに使うのであれば汚れが気にならない樹脂パーツで覆われたインテリアはむしろメリットなのかもしれませんが、オーナーカーとしてみた場合アルトと比べてしまうと物足りなさがあります。ただ操作性やメーターの視認性など実用的な面ではアルトに劣っているところはありません。

それぞれのスペックや燃費を比較してみると
どのような違いがあるのか

スペックや燃費を比較

それぞれのエンジンスペックとWLTCモード燃費を比べると以下のようになります。

●アルト/ガソリンエンジン
最高出力34kW(46PS)、最大トルク55N・m(5.6kg-m)
WLTCモード燃費25.2㎞/L(Lグレード・2WD)

●アルト/ハイブリッド
エンジン最高出力36kW(49PS)、最大トルク58N・m(5.9kg-m)
モーター最高出力1.9kW(2.6PS)、最大トルク40N・m(4.1kg-m)
WLTCモード燃費27.7㎞/L(HYBRID Xグレード・2WD)

●ミラ イース
最高出力36kW(49PS)、最大トルク57N・m(5.8kg-m)
25.0㎞/L(G“SA III”グレード・2WD)

アルトにはガソリンエンジンとハイブリッドがありますが、ミラ イースはガソリンエンジンのみです。また、双方とも高出力のターボエンジンは設定されていません。どちらもあくまで経済性を重視したベーシックカーということがスペックからもわかります。

燃費に関しですが同じガソリンエンジン同士ではほぼ変わりません。どちらも非常に燃費がよく経済的なのは間違いありません。ただ、アルトのハイブリッドは思ったほど燃費に差がないのが気になりますが、マイルドハイブリッドなのでハイブリッドなら燃費が良くなるはず! と期待するとちょっと肩透かしかもしれません。

価格はどうなのか
コスパに優れているのはどっち?

コスパに優れているのはどっち

では価格を比べてみましょう。まずアルトの価格ですが、エントリーグレードのAグレード2WDが943,800円で最も高額なHYBRID Xグレードの4WDが1,379,400円です。対してミラ イースですが、こちらはエントリーグレードのBグレード2WDが860,200円で最も高額なG “SA Ⅲ”グレードの4WDが1,364,000円となっています。価格的に完全にバッティングしていることがわかります。

とにかく安い方が良い、という場合はミラ イースのBグレードとなりますが、ただこのBグレードは社用車ニーズに向けたビジネスグレード。そのため安全装備パッケージの「スマートアシストⅢ」が装備されていません。

今どき安全装備の無いクルマというのは選ぶべきではないのでそうなると、ミラ イースの中でも最も安いグレードとなるのはB “SA Ⅲ”グレードの2WDです。こちらは926,200円です。アルトの場合エントリーグレードのAグレードでも安全装備パッケージが標準装備です。こちらが943,800円なのでほぼ価格は同じ。コスパで選ぶとなるとわずかにミラ イースということになるでしょうが安全装備パッケージの内容に違いがあります。

双方とも衝突警報機能、ブレーキアシスト、誤発進抑制、車線逸脱警報機能、先行車発進お知らせ機能、SRSエアバッグが標準装備となっていますが、アルトにはあるブレーキアシスト(後)や、ふらつき警報機能、リヤパーキングセンサー、SRSカーテンエアバッグなどはミラ イースには装備されていません。やはりより新しいアルトのほうが安全装備に関しては優れています。価格差の分しっかり安全装備に差があるので選択は難しいところです。

アルトとミラ イース
それぞれどのような人に向いているのか

どのような人に向いているのか

●アルトが向いている人

アルトはミラ イースに比べるとわずかに価格が高いですが、その分安全装備が充実しているというメリットがあります。安くても安全性を重視したいという方にぴったりです。また、デザインにも新鮮さがあり、社用車に見えないという点はオーナーカーとして乗りたいという方にもうれしいポイントでしょう。

また燃費とパフォーマンスに優れたハイブリッドも選べるというのはミラ イースにはないアドバンテージといえるでしょう。

●ミラ イースが向いている人

ミラ イースはとにかくコスパの良い軽自動車が欲しいという方に向いています。今どき80万円台で新車が購入できるというのは他にはありません。足代わりやセカンドカーとして軽自動車が欲しいという方にはぴったりです。

ただ、デザイン的に古さを感じることや、安全装備がライバルのアルトに比べると見劣っているという点には注意が必要です。購入するのであれば最低でも安全装備パッケージが標準で装着された“SA Ⅲ”グレードを選ぶべきでしょう。

コスパに優れたアルトとミラ イースに
もっとお得に乗りたいならカーリースも検討を

カーリースも検討

アルトとミラ イースは永遠のライバル関係ということもあって、スペックや価格の差は本当にわずかです。デザインに関して筆者はアルトのほうに軍配を上げましたがこれはあくまで好みでありミラ イースのほうが良いと考える方もきっと少なくないでしょう。最終的には個人の好みで決めるべきですが、スペック的には世代の新しいアルトのほうが優れているのは確かなようです。

できるだけ安くクルマを購入したいという方はこの両車比較していると思いますが、細かくチェックするとスペックや安全装備に違いがありますので選ぶ際はそういった細かな部分までしっかり下調べをしてから購入するようにしてください。

ちなみにリースナブルではご紹介したアルトとミラ イースのリース車をご用意しています。

アルト:https://leasonable.com/model/alto/

ミラ イース:https://leasonable.com/model/miraes/

アルトの最安コースなら月々6,600円×60回+ボーナス加算91,080円。ミラ イースの最安コースなら月々6,600円×60回+ボーナス加算72,600円とお得です。とにかく安く新車に乗りたいというのであれば購入ではなくリースでの利用も是非検討してみてください。