ヤリスクロスいえば、トヨタのコンパクトSUVです。コンパクトカーヤリスをベースとしたクルマで、2020年にトヨタからリリースされた新型車です。車体はコンパクトですが、力強さを表現した存在感満点のスクエアなフォルムにたくましいフェンダーアーチを持ち、都会的でありながらSUVらしいワイルドさも兼ね備えたとても魅力的なクルマです。そんなヤリスクロスが2022年7月にマイナーチェンジをしたタイミングで新たに投入されたのが「ヤリス クロス GR SPORT(ヤリスクロスGRスポーツ)」です。
GRスポーツといえばトヨタのスポーツモデルに冠されるブランドですが、SUVであるヤリスクロスのGRスポーツとはいったいどのようなクルマなのでしょうか。ベースモデルとの違いやその特徴などについて解説します。
目次
GRスポーツとはどんなクルマなのか
他のGRとは何が違う?
(引用:トヨタ公式HP)
トヨタ車の中でも特別なモデルにつけられるブランドが「GR」です。ただこのGRにもいくつか種類があって、本格的にチューニングが施された限定車の「GRMN」が頂点にあって、その下に限定ではないけれどシャシーやエンジンにまで手が加えられた専用設計の「GR」があります。さらにその下にカタログモデルとして設定されているのが「GRスポーツ」となります。つまりはGRの中でももっともライトな仕様がGRスポーツということになります。
つまりヤリスクロスGRスポーツは、GRですがカタログモデルであり、車体やエンジンなどパワートレーンの基本ベース車両と同じということになります。ただ、専用設計のパーツが装着されていたりデザインが違っていたり特別な一台であるのは間違いありません。ではどんなところがヤリスクロスGRスポーツは特別なのか細かく見ていきましょう。
エクステリアにはGRスポーツならではの
スペシャルなパーツが装着されている
(引用:トヨタ公式HP)
やはり気になるのはエクステリアでしょう。ベースのヤリスクロスよりも高価な分、見た目にも差別化されていないと悲しいですよね。まず、フロントグリルが専用品に変わっています。開口部がハニカム状のメッシュになっていて、フォグランプベゼルも専用デザインとなっています。バンパーのデザインなどが変わっているわけではありませんがぱっと見で明らかにスポーティな印象が強くなっています。
また、リアにも専用のリアバンパーロアカバーが装着されています。これが空力にもよさそうなディフューザーになっていて実にレーシーな印象。SUVのヤリスクロスGRスポーツにも意外なほどに合っています。さらに、専用の「GR SPORTS」のエンブレムが前後に装着されているほかブレーキキャリパーにはビビットなレッド塗装が施され、タイヤは専用の18インチアルミホイール(切削光輝/センターオーナメント付)が装着されています。これに組み合わされるタイヤも215/50R18タイヤとサイズこそベースモデルと変わりませんが、グリップ性能に優れたFALKEN FK510というスポーツタイヤが装着されています。
エクステリアだけでなく、インテリアもスポーティな装いとなっています。まずステアリングにはGRロゴ付の専用本革巻き3本スポークステアリングホイールが装着され、フロントコンソールもガンメタリック塗装&専用本革巻きシフトノブ仕様となっています。足元のアクセルペダルとブレーキペダルがアルミとなっており、本気でスポーティな走りを楽しめる仕様となっています。
パワーユニットはノーマルと同様だが
シャシーやサスペンションを専用チューニング
(引用:トヨタ公式HP)
上記のように、大幅には変わっていないとはいえ明らかに見た目はスペシャルな仕様となっていることがわかるヤリスクロスGRスポーツですが、パフォーマンス面はどうなのでしょう。シャリーやパワーユニットにまでは手を入れられていないのがGRスポーツですが、実はヤリスクロスGRスポーツは、車体やサスペンションの取り付け部などの強化が施されています。
具体的にはまずフロアトンネルとリアエンドの床下に専用のブレース(車体強化部材)が追加されており、車体剛性がアップしています。これによって操縦安定性とフラットな乗り心地を実現しているとのこと。さらに、車高を10mm下げるとともに、サスペンションのブッシュやコイルスプリング、ショックアブソーバーもチューニング、加えて電動パワーステアリングもよりスポーティな特性にチューニングされています。
他にもハイブリッドモデルにはモーターの過渡特性を最適化し、加速、減速時のアクセルレスポンスを向上させた専用パワートレーン制御のチューニングがされています。そして、駆動力をよりダイレクトにタイヤに伝えるため、ドライブシャフトのねじり剛性をアップさせているなど結構本格的に手が入っています。GRスポーツは、GRの中ではライトな仕様とはいえ、ヤリスクロスGRスポーツに関してはしっかりスポーティな走りにも磨きをかけているのです。
基本的なスペックはノーマルのヤリスクロスとほぼ同じ
ただし4WDは選べない
(引用:トヨタ公式HP)
ヤリスクロスGRスポーツのスペックですが、車体サイズは全長4,185㎜×全幅1,765㎜×全高1,580㎜(ガソリンエンジン、ハイブリッド、2WD、4WDすべて同一)で、Zグレード(全長4,180㎜×全幅1,765㎜×全高1,590㎜と比べると全長がわずかに5㎜長く、車高が専用サスペンションチューニングによって10㎜低くなっています。ほぼ変わりません。ただ、ヤリスクロスGRスポーツにはZグレードでは選べる4WDが設定されていません。
パワーユニットのスペックも同様で、ハイブリッドは最高出力67kW(91PS)のエンジンと最高出力59kW(80PS)のモーターの組み合わせで、ガソリンエンジンは最高出力88kW(120PS)となっています。車重はベースのZグレードよりも10kgほど軽くハイブリッドで1180kg、ガソリンエンジンで1,130kgです。SUVとしては比較的軽量なのでキビキビと走ることが可能でしょう。
装備内容はベースとなったZグレードに比べ
やや見劣りがする部分もあり
(引用:トヨタ公式HP)
装備に関してはZグレードに準じており、前述した専用装備以外はほとんど同じです。ただし、メーターがZグレードではオプティトロンメーターなのに対して、エントリーグレードのXグレードと同じデジタルメーターとなっているのと、マルチインフォメーションディスプレイも同様にXグレードと同じ4.2インチTFT(Zグレードは7インチTFT)となっているという違いはあります。また、シートヒーターやステアリングヒーター、エアコンのナノイー機能がセットオプション(Zグレードは標準装備)となっているのも大きな違いでしょう。
今や必須の予防安全装備ですがヤリスクロスGRスポーツには、Zグレードと同様に「Toyota Safety Sense」が当然標準装備となっています。プリクラッシュセーフティ(歩行者[昼夜]・自転車運転者[昼]検知、機能付衝突回避支援タイプ/ミリ波レーダー+単眼カメラ方式)、レーントレーシングアシスト[LTA]
レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)、オートマチックハイビーム[AHB]ロードサインアシスト[RSA]、バックガイドモニターがセットで装着されています。また、オプションでブラインドスポットモニター[BSM] パーキングサポートブレーキ(後方接近車両)やトヨタ チームメイト[アドバンスト パーク(パノラミックビューモニター付)]を追加することも可能です。予防安全装備はとても充実しているといえるでしょう。
専用パーツやチューニングの
内容を考えると十分お買い得!
(引用:トヨタ公式HP)
気になる価格ですが、HYBRIDヤリスクロスGRスポーツが275万円で、ガソリンエンジンのヤリスクロスGRスポーツが236万7,000円です。コンパクトSUVとしてはそれなりに高額ですが、ヤリスクロスの上級グレード、Zグレードと比較しても+14万円ほどです。専用パーツの装着やボディ剛性アップのためのチューニングなどを考えると十分割安といえます。
ヤリス クロスGRスポーツは、快適装備に関しては、スポーティモデルということでZグレードにちょっと見劣りする面もありますが、その分コンパクトSUVとは思えないほど、スポーティな走りが味わえるのは間違いありません。見た目もノーマルのヤリスクロスとは違っていますのでオーナーの所有欲もくすぐってくれることでしょう。
ヤリスクロスの購入を検討されている方は、そんなヤリスクロスGRスポーツに是非注目してみてください。普段はファミリーカーとして使っていても、ちょっとした峠道でスポーティなハンドリングを楽しんでみたいという方には、なかなか魅力的な一台となってくれるのではないでしょうか。