次に購入するクルマを選ぼうとなったとき、多くの方がまず検討するのは新車にするのか、それとも予算を抑えるために中古車にするのかということではないでしょうか。この2つの選択肢が一般的ですが、ここにもう一つ加えるべきものがあります。それが「新古車」です。

「新古車って聞いたことはあるけれどいったいどんなものなの？」そのように疑問を持っている方ももしかしたらいるかもしれません。そして、クルマ選びの際に、イマイチ実態がわからないから新古車があってもあえてそれを避けている、という人もいるのではないでしょうか。

そこで、ここでは、そんな新古車について、そもそもどんなものが新古車なのか、また新古車を購入するとなった場合、どんなメリットがあるのか。逆にデメリットはないのか。そういったことを解説していきます。「新古車」について正しい知識を持っていれば今後のあなたのクルマ選びの幅も広がるかもしれません。

そもそも「新古車」とはどんな車のことをいうのか

なんとなく聞いたことはあるけれど、そもそも「新古車」とは正しくはどのようなクルマを指すのかよくわかっていないという人もきっと多いでしょう。そこで、ものすごく簡単に説明してみましょう。まず新古車は“新”とついていますが新車ではありません。あくまで中古車です。

一旦新車として登録をされているクルマでありながら、基本使用はされておらず（公道をほとんど走行しておらず）、またオーナーもいないクルマのことを指します。その名からイメージされる通り、新車と中古車の中間的なものと考えて大きくは間違いではないと思います。

では、なぜそのような中途半端なクルマが市場で売られているのか。その理由ですが例えば新車ディーラーが販売ノルマを達成するために在庫をいったん登録してノルマを達成。そして、それを中古車扱いで販売しているというケースがそうです。

また、ディーラーが試乗車や展示車としての利用するために新車をそのディーラー名義で登録して使用。役割を終えたクルマを中古車市場で新古車として売るというケースもあります。そういった、新車でもなく、中古車でもないという扱いで売られているクルマがいわゆる「新古車」なのです。

一般的な中古車とは違って、ほとんど走行していない（していたとしても試乗などのわずかな距離）上に、前のオーナーが存在していないため、コンディションは新車と同等。それでいてあくまで中古ですので新車よりも安く買うことができる。つまりお得なクルマということになります。

新古車はあくまで通称。正しくは「未使用車」

ただ、新古車はあくまで通称であり、以前は広告や中古車誌などでも使われていましたが、現在は新車との区別がつきにくく市場の混乱を招くとして広告などでは新古車という名称の使用はNGとなっています。ただ、すでにある程度浸透しているため慣習として今もこのような呼び方が使われているのです。

新古車といっても、実際には一旦ディーラーなどの名義で登録されているクルマですのであくまで中古車です。法律上でも中古車ですので広告などに掲載する場合は新古車という名称は使わず軽自動車なら「登録済未使用車」、普通車なら「届出済未使用車」と表示するというルールが決められています。

ただ、このルールは徹底されているというわけでもなく、適用されるのは自動車公正取引協議会に加盟している販売店だけ。そのため一部の中古車店などではいまだに「未使用車」を「新古車」と表示して販売していることもあるようです。この記事でもわかりやすく「新古車」という表記で進めていきます。

新古車には具体的にどのようなメリットがあるのか

なんといっても新車同様の良いコンディションのクルマが新車よりも安く買えるというのが最大のメリットでしょう。では、新古車がなぜ新車よりも安いのか、その理由はあくまで中古車だからです。新車同然のコンディションとはいっても、一旦登録されているのではあくまで中古車。中古車を新車よりも高く売るというのは特別なケース（ランクルやジムニーのように超人気車でプレミアがついているなど）でもない限り普通はありません。だから安くて当然なのです。

新古車は多くの場合ディーラーの在庫として残っていた新車をノルマ達成（実績を作るため）のためにあえて一旦登録して、売りやすい新古車（未使用車）して売られているもの。

また、在庫を大幅値引きで売ることができない（下取り価格などの下落を招く恐れがある）から一旦登録して新古車として売っている、そんなクルマです。もちろんそれ以外にも、新乗車や展示車を登録して販売するなどといった例外はありますが、いずれにしても中古車ですから新車よりも高い値段で売ることは基本的にありません。

さらに、新古車は一旦登録されているので時間がたてばたつほど次の車検に期限が迫ってきます。つまり売れなければどんどん価値が下がっていく。また、そのクルマのマイナーチェンジやフルモデルチェンジが近ければ、すぐに売ってしまわないと旧モデルになってしまいます（市場価値が落ちてしまう）から、できるだけ早く売ってしまわなくてはならないのですね。そういった事情からできるだけ早く売ってしまいたい。だから安くなるというわけなのです。

新古車は登録されただけの未使用車なので
コンディションは新車とほぼ変わらない

前述の通し、新古車は新車ディーラーなどの在庫車が、一旦登録されて新古車（未使用車）として販売されるものです。未使用車ですからコンディションはほぼ新車と変わりません。つまり一般的な中古車と比べると非常にコンディションが良い（ほぼ新車なので当然ですね）ということ。もちろん使用感はほぼなく、走行距離も100km以下というケースが少なくありません。

そのような車が新車よりも安く手に入るということですのでお得感は非常に高いといえるでしょう。ただ、新古車はあくまで新車ではない中古車ですので、クルマのコンディションは、一台一台違います。また走行距離や残りの車検期間に関しても当然同じものはありません。もし同じ車種の新古車が目の前に何台も並んでいるのであれば、それら一台一台のコンディションや走行距離はしっかりと吟味する必要があるでしょう。

すでに登録済みの未使用車なので
自賠責保険や重量税などの支払いも不要

新古車はすでに一旦登録されているので車検も当然ながら通しています。そのため、新車購入時に負担が必要な自動車重両税や自賠責保険などもすでに支払い済みです。購入時に自動車重量税がかからないというのはメリットといえるでしょう。

また、自動車を所有している場合、毎年納めなくてはいけない自動車税に関しても、購入タイミングによっては免除となる可能性があります。自動車税の支払い通知は、4月1日時点での所有者に対して届けられるものですので、その新古車の購入が4月1日以降であれば、自動車税はディーラー側ですでに払っているはず。購入者は年度内の自動車税が免除となるのです。ちょっとお得ですね。

新車の納期が大幅に遅れている今
納車までが早いというのも大きな魅力

納車までが早いというのも新古車のメリットです。現在新型コロナの影響による半導体不足や中国のロックダウンの影響で、新車の納期が大幅に遅れています。ほしいと思って注文しても早くても数か月、ひどい場合は1年以上納車が先というケースも珍しくありません。

しかし、新古車は登録済みのあくまで中古車ですので新車同様のコンディションですが、すでにクルマはディーラーや販売店で在庫されています。そのため、自動車メーカーからのディーラーに納車されるのを待つ必要はないのです。場合によっては購入から10日ほどで納車が可能ということもあります。とにかくできるだけ早く新車（同然のクルマ）に乗りたいという方にとってこれは大きな魅力といえるでしょう。

新古車を買うことにデメリットはないのか

新古車にはメリットがありますが逆にデメリットもあります。それが以下のようなことです。まず、新古車は販売店の在庫車のため希望するクルマやグレードが必ずしも購入できるわけではないということ。もし、在庫がなければ、欲しいからといっても購入も注文ももちろんできません。

そもそも新古車はディーラーからすれば売れなかった新車の在庫ですから、大量に新古車が在庫されているという状態はまずいのです。ノルマ達成のために新古車にはしていますが、ないほうが本来は良い。そのため在庫は決して多くはない（多くてはいけない）のです。また常に在庫が存在するというものでもありません。タイミングよく希望する車種の新古車が見つかればいいですが、なかなかそううまくはいかないのです。

選べる車種は決して多くはない。グレードも選べない

新古車は、新車のように購入する側が車種やグレードを自由に選ぶことはできません。すでにある在庫車のなかから、希望する車を選ばなくてはなりません。これは中古車と同じです。

当然車種やグレードも限られています。またボディカラーなども選べるとは限りません。在庫として残っているものですので場合によっては不人気カラーのクルマばかりとなっている可能性もあります。

新古車は一般的に生産台数が多く需要が高い車種のほうが多い傾向があります。そういったクルマはもともと売れるので在庫も多いからです。さらに人気車種でも特に軽自動車は豊富にそろっていますが、SUVやミニバン、スポーツカー、またレアなクルマや珍しいカラーのクルマの新古車に出会うのはかかり難しいでしょう。

グレードも人気グレードや軽自動車の場合なら廉価グレードに偏っている傾向があります。希望通りの車種やグレードでボディカラーも好みのモノ、さらにオプション装備なども自分が装着したかったアイテムが装着されている、などといったことはなかなかありません。もし見つけられたらかなりラッキーといえるでしょう。

次回の車検までの日数が選べない
場合によっては非常に短いことも

新古車は登録済なので、次回の車検までの期間が長く残っている場合も少なくありません。しかし、購入のタイミングが悪かった場合、次の車検までの残存期間が1年を切るなどというケースもないわけではありません。お得に購入できたつもりが、納車後すぐに車検が訪れ思わぬ出費を強いられてしまったなどということがあるかもしれません。

全ての販売店ではありませんが、中古車販売店の中には新車登録から1年未満の未使用車のみ新古車として販売しているところもあります。新古車を購入するならそういった信頼のおける販売店を選ぶようにしてください。

希望通りの新古車を見つけ、購入をしようとなった場合はそのクルマの次の車検がいつなのかもしっかり確認する。こういった新車にはない気を付けなくてはならないことがあるのが新古車なのです。

中古車店？ 新車ディーラー？
新古車はいったいどこで買えるのか

新古車も一般の中古車店で購入することが可能です。中古車検索サイトで未使用車（中古車情報サイトでは新古車という名称は使用NGなので未使用車で検索しましょう）を検索すればたくさんの新古車（未使用車）が見つかるはずです。

また、希望する車種が必ずしも見つかるとは限りませんが、近所に中古車販売店があるなら、まずはそちらに出向いて探してみてもいいでしょう。直接クルマを見たほうが、そのクルマのコンディションや装備内容なども詳しくチェックすることができます。

新古車を専門で扱っている新古車専門店（未使用車専門店）もあります。はじめから新古車を狙っているならそういった専門店を検索し、そちらに問い合わせてみるのもいいでしょう。専門店なら車種もそろっていますし在庫も豊富なはずです。

実は新車ディーラーでも新古車を扱っていることもある

意外に知らない人もいるようですが、実は新車ディーラーでも新古車を扱っています。もともと新古車は新車ディーラーの在庫車ですので、当然そういったクルマを直接ディーラーで販売するということもあるのです。中古車専門店ではないので、在庫自体は多くはありませんがタイミングがあえば、あなたが希望する車種の新古車が手に入るかもしれません。

中古車販売スペースが併設されているディーラーであればそういった新古車を購入できる可能性は高いでしょう。そうでない新車ディーラーでも新古車を扱っていることもあるので、直接ディーラーのスタッフに声をかけ、新古車の在庫がないのか尋ねてみてもいいでしょう。

新古車よりもメリットの多い
お得で手軽なカーリースという選択も是非検討を

ご紹介したように、新古車はうまく希望通りのクルマを見つけることができれば新車と変わらないコンディションのクルマを割安で購入することができ非常に魅力的です。しかし、あくまで新車ではなく中古車ということには間違いありません。

やっぱり新古車ではなく、自分の希望通りの新車に乗りたいというのであれば、新しいクルマの乗り方、カーリースを使用するというのもひとつの手でしょう。

例えば、業界最安値のカーリース「リースナブル」なら、月々6600円～という格安のリース料金で新車リースが可能です。車種も幅広くそろっているうえ頭金や自動車税、登録料や自賠責保険も不要。さらに車検費用も0円です。

加えてリース期間に他のクルマに乗り換えることも、途中解約することも可能です。そんなお得で便利なカーリース「リースナブル」なら、新古車以上に魅力的ではないでしょうか。新古車もいいですがお得にクルマに乗る手段としてカーリースという選択があるということも是非覚えておいてください。