2020年8月、ランドクルーザープラドがマイナーチェンジを実施しました。最大のトピックはディーゼルエンジンのパワーアップです。エンジン型式などは変わらず、排気量なども変更ありませんがパワーで27PS、トルクで50N・mも向上しています。

そして、そのことが高く評価されたのか、すでにモデル末期と言われながらその販売台数を伸ばしています。こんなこと普通のクルマではありえません。ではなぜそこまで人気を落ちないのか? あらためてランクルプラドの魅力を探ってみましょう。また次期型はどのようになるのかその予想もしてみました。

マイナーチェンジでのエンジン
パワーアップで人気が再上昇


(引用:トヨタ公式HP)

現行型の150系ランドクルーザープラドが発売されたのは2009年です。ということはすでに登場から13年もたっているわけです。もちろん何度もマイナーチェンジが施されており、初期のプラドと現在のプラドでは外観もスペックも変わっていますし、その走行性能に関してもバージョンアップを繰り返し、現在もクラストップレベルのパフォーマンスを誇っています。

直近のマイナーチェンジは2020年の8月で、安全装備などを大きく進化させています。例えばトヨタの最新安全装備Toyota Safety Sense(セーフティセンス)の機能が向上。プリクラッシュセーフティの検知範囲を拡大し、夜間の歩行者と昼間の自転車運転車にも対応。加えてヨーアシスト機能付きレーンディパーチャーアラートやロードサインアシスト(RSA)、先行車発進告知機能が全車に標準装備となっています。

また、機能面ではスマートフォンと連携できる9インチDA(ディスプレイオーディオ)をオプション設定。デジタル系の機能も最新スペックへとしっかりと進化させています。

そして、一番のトピックはなんといってもディーゼルエンジンのパワーアップでしょう。エンジンそのものの型式変わっていませんが改良を施したことでパワーは177PSから204PSへと27PSもアップ! さらにトルクも450N・mから500 N・mへと50 N・mも向上しています。これは大きい。オフロード走行にはトルクが重要ですからこのトルクの向上は多くのプラドファンに喜ばれたはずです。実際マイナーチェンジ実施後からその販売台数が着実に上向きました。

新型プラドが登場間近
それなのにライバルよりも売れている!?


(引用:トヨタ公式HP)

車種別の販売台数ランキングでは、ランクル200とプラドは合算されてしますので、その詳細な台数はわかりません。しかし、比率としては1割がランクル200、そして9割がプラドと言われています。つまりは販売台数データのうちそのほとんどがプラドのものと考えていいでしょう。

ではどれくらい売れているのか、販売台数ランキングで見てみると2021年に入ってから18位(1月)、22位(2月)、23位(3月)、22位(4月)となっています。CH-Rやロッキー、CX-8といった人気のSUVよりも売れている。

マイナーチェンジを受けたとはいえ、すでにモデル末期とされているのにこの売れ方がですから、ライバルにとってはたまったものじゃないでしょう。13年も前に発売されたフルモデルチェンジ直前のクロカン4WDに、最新のスペックを持った万能な使い勝手を持ったSUVが負けているのですから。

さらに言うとプラドは高価です。エントリーグレードのTX2.7ガソリンでも362万1,000円もします。ライバルよりも高額。それなのにこの売れ方。驚くほかありません。

でも、疑問もありますよね。もうすぐ新型が発売されると前々から噂されていて、すでにフルモデルチェンジ目前とメディアでも報道されています。販売店でも現行モデルの注文受付を停止しているところもあるようですから、ちょっと待っていれば新型のプラドが手に入るのです。それなのにモデル末期のプラドがなんでこんなに売れているのか。その理由を考えてみましょう。

本格派のクロカン4WDでありながら
実用性も高い万能なランクルプラド


(引用:トヨタ公式HP)

ランクルプラドの魅力ですが、まずは兄貴分であるランクル200よりも一回りコンパクトということがあるでしょう。コンパクトといってもあくまで巨大なランクル200と比較してということですが、全長4825mm×全幅1885mm×全高1850mmで車重2トンオーバー。小さくはないですが都会でもなんとか普通に扱える大きさ。

これがランクル200となるとコインパーキングに停めるのもちょっと苦労するレベルなのでその差はちいさくありません。それでいてオフロードの走破性に関しては兄貴分ゆずりで、いわゆる都会派SUVなどではとても走り切ることのできない悪路でもガンガンに走っていけます。

さらに見た目もワイルド。高級感もありオフロードテイストも感じさせる姿は、クーペのようなクロスオーバーSUVや、乗用車ベースながらディテールでワイルドさを演出した乗用車ベースのSUVよりも格好がいい。

そもそもプラドはそのような流行とは関係なくもともと本格派のクロカン4WD。なんとなくオフロードも走れそう、ではなくて、オフロードでこそそのポテンシャルを100%発揮できる本気のオフローダーです。つまり本物。オフロード車っぽいのと、本気のオフローダーでは似ているようでいてその価値は全く違います。

そして、ファミリードライバーにはうれしい7人乗りモデルも設定されています。装備も充実していてインテリアも高級感ある快適なしつらえ。ちゃんと実用性に関しても一級品なのですね。

ようするに大きくて格好良く、なおかつ街中でも十分快適。さらに家族も乗せられる万能なSUVということ。そしてリセールバリューも高い。また安全装備に関しても前述したようにマイナーチェンジによって最新スペックに向上しています。あらためて分析してみると確かに魅力的なことが分かります。人気が衰えないのも当然なのですね。

とはいえフルモデルチェンジが目前なのも明白。リースナブルでも2021年5月現在「新型発売待ち」となっておりすでに新規受付を停止しています。それなのにいまだ人気が衰えない。本当に不思議ですよね。

新型プラドの新型発表はいつになるのか?
ハイブリッドモデルの登場にも期待


(引用:トヨタ公式HP)

しかし、すでに自動車系の情報サイトでは新型プラドの予想CGなども公開されています。それらの情報を見てみると、基本的には現行モデルのキープコンセプトなるようです。安易にモノコックボディの乗用車的なSUVとはせず伝統の強靭なラダーフレーム構造は踏襲されるようです。安心しました。

やはりランドクルーザーはそうでなくてはいけません。どのような環境でも走り切りことができるその高い信頼性によって世界中から支持されてきた、トヨタにとっては変えてはいけない絶対のブランドなのですから。

サスペンションも当然のごとく可動範囲が大きく、頑丈なリジッドアクスルとなるでしょう。そうでないと砂漠や広大なサバンナを安心して走ることはできません。

気になるパワーユニットですがおそらく昨年マイナーチェンジによってパワーアップした2.8Lのターボディーゼルはそのまま踏襲されると思います。せっかく改良して性能を大幅にアップしたものを使わないはずはありません。

また将来的には新開発のハイブリッドエンジンも搭載されるという予想もあります。ハイブリッドのランクル、それはそれで面白そうですね。

ただ、デビュー直後にはラインナップされるかは微妙なところでしょう。とにかく伝統のラダーフレームとリジッドアクスルが踏襲されるなら、ランクルファンも納得のかなり魅力的な一台となりそうです。

新型が登場してもその価値は
変わらないのがランドクルーザー


(引用:トヨタ公式HP)

では、新型が間もなく登場するということは、今のプラドの魅力に陰りがでるのか? おそらくそうはならないと思います。でなければ2021年になっても売れ続けるはずがありません。ランクルファンもそれが分かっているから、モデル末期の今でも売れているのだと思います。

ランクルは他のクルマとは違う。旧モデルになったからといってその魅力が衰えることはなくむしろ、新型が登場したことで従来の武骨なランクルこそ本物だ! と考えるランクルファンはきっといるでしょう。そして逆に旧型の価値が高まるという現象も過去には何度も起きています。

例えばランクル40や60,80、70などといった旧モデルは今も中古車市場で引く手あまた。中でも40などは新車時の価格を超えるヒストリックカーとして世界中で人気を博していますし、初代プラドのベースとなった70は国外では今もそのままの形で新車として売られていて、世界中で現役のオフロードカーとして大活躍しています。

どの年代のモデルでも変わらぬ価値があるクルマ、それがランクルシリーズなのです。ということはもうすぐ登場する新型ランクルプラドもそのような価値を持ったクルマにおそらくなるのでしょう。でも具体的にどんな姿を見せてくれるのか。

できたら「前のプラドの方がよかった」なんて言われないように、今の150系プラドオーナーが悔しがるくらいの魅力的なクルマとして登場してほしいですね。期待しましょう。