仕事や家族の都合で急に引っ越しすることになった、などというのは決して珍しいことではありません。ただ引っ越しすると面倒なのが住所変更の手続きです。書類をそろえたり役所に赴いたり思いのほか手間がかかります。そしてそれはクルマに関しても同じです。忘れてしまいがちですが免許に車検証、そして車庫証明などについても早急に住所変更の届出をしなくてはなりません

では、長期契約となるカーリースで契約したクルマの場合は引っ越しの届出はどうすればいいのでしょう。住所変更手続きはリース契約者側で行うのかリース契約者が行うのか?また、その際の手続きはどのようにすればいいのか。一般的なカーリースのケースで調べてみました。

リース車両の場合は
まずリース会社に連絡を入れる

カーリースは一般的に5年や7年など長期で契約するケースがほとんどです。5年、7年ともなればそのリース期間中に、何らかの事情で引っ越しするということがあるかもしれません。引っ越しをしても、もちろんですがリース車両を使用し続けることはできます

しかし、その際には必ず住所変更の手続きを行わなければなりません。これは、リース車に限らず、クルマを所有しているなら行わなければならないことです。

自分のクルマであれば代行を頼むなり、自分で行動するなり住所変更の手続きをすればいいのですが、リース車の場合はどうなのでしょう。住所変更が必要なのは当たり前のことですが勝手にやってしまっていいのでしょうか?車検証には所有者はリース会社で使用者はリース契約者となっていますがどうなのでしょう。

様々なリース会社のWEBサイトなどで、転居の際の手続きはどうすればいいのか検索してみると、多少の違いはありますが、引っ越しした際の対応に関しては、およそ以下のように手続きを行うと記載されていました。

  • ①リース会社へ住所変更の届出を行う。
  • ②転居先管轄の陸運支局で住所変更の届出を行い、必要であればナンバーの変更を行う。
  • ③自賠責保険、任意保険の住所変更手続きを行う。

つまり引っ越しのことをリース会社に連絡し、あとの手続きはリース会社に代行をお願いするか、リース契約者サイドで行ってくださいということです。住所変更の手続きにかかわる費用は、リース料金には含まれていませんので基本的にはリース契約者の負担となります。また、ナンバーが変更となった場合の手続き費用も同様です。こういった手続きですが、実際にやってみると思いのほか面倒で時間もかかります。

もし自分で行うのが面倒だという場合は、リース会社に依頼するのが簡単です。また住所変更を有料で行ってくれる代行業者なども検索するといくつも見つかります。

ただ、手間がかかるということは、代行を頼めばその費用もそれなりにかかるということです。例えば車庫証明の取得から、車検証の住所変更、ナンバーの交換に自賠責保険の住所変更まですべて代行を依頼すると、だいたい3万円~5万円はかかるようです。

決して安くはない金額ですね。時間や手間を考えればこの金額は決して高すぎるというわけではないですが、引っ越しでいろいろとお金を使った後にさらに3~5万円を払うというのはかなりの負担でしょう。

でもこの金額のうち8~9割は実は人的なコスト、いわば手間賃です。つまり手間暇を惜しまず自分でやればかなり節約できるということでもあります。手続き費用などの実費だけなら5,000円程度。できるだけ費用を抑えたいというなら、手間はかかりますが自分で行ってみるというのも一つの選択肢かもしれません。では具体的に、クルマの住所変更はどのようにすればいいのでしょうか。

引っ越しから15日以内に
住所変更しないと罰金50万円!?

自分でリース車両の住所変更をやってみたいという方のために、クルマの住所変更の手続きについて紹介します。まず、リース車両の場合は最初にリース会社に住所が変わったことを連絡します。これはリース契約の記載内容を引越し先に変更する必要があるからです。また、引っ越しによってリース車両のメンテナンス工場の変更が必要になるような場合は、転居先の近くのメンテナンス先をあらたに指定されるので、転居が決まったらまずは最初に連絡を入れましょう。

転居が完了したら速やかにクルマの住所変更手続きを行います。これは引越しをした日から15日以内におこなわなければならないと法律(道路運送車両法第109条二号)でも定められています。意外に知られていませんが、ちゃんと罰則も定められていて悪質な場合は50万円以下の罰金が課せられこともあるそうです。

では、クルマの住所変更手続きには具体的にとはどのようなことをしなくてはならないのか、簡単にまとめてみました。

  • ①自動車保管場所証明書の申請手続きを行う。

    自動車保管場所証明書とは車庫証明です。車検証の住所変変更手続きには車庫証明が必要なのでまずはこれを取得します。

  • ②自動車車検証の住所変更手続きを行う。

    新しい車庫証明が取得出来たら車検証の住所変更を行います。車検証には使用の本拠地が記載されているのでこれを新しい住所に変更してもいらいます。手続き場所は新しい住所を管轄する運輸支局や検査登録事務所です。

  • ③自動車保険の住所変更手続きを行う。

    自賠責保険と任意保険の住所変更手続きは、加入している保険会社に連絡を入れ、書類を送るだけの簡単な手続き済みます。

このほかに免許証の住所変更も行っておきましょう。運転免許証の住所は変更しなくても運転できなくなるなどということはありませんが、変更しないでいると免許更新の案内が届かないなどということもあります。住所変更を忘れていたために更新はがきが届かずいつのまにか免許を失効してしまった、などというケースもまれにあるようなので、必ず速やかに手続きを行ってください。

手続きには住民票があると便利なので役所で転入の手続きなどを行う際に合わせて住民票を取得しておくといいでしょう。

最初に新しい駐車場の
車庫証明を取得する

では実際に住所変更をする際の手順を追ってみましょう。まず必要となるのが「車庫証明書」です。これがないと車検証の住所変更が行えません。引っ越し先の住居に車庫があればそこを車庫として車庫証明を取得します。ない場合は新しい住まいの近く(直線距離で2km以内)に車庫(駐車場)を確保(借りる)します。

無事車庫や駐車場が確保できたら、その車庫や駐車場の住所を管轄する警察署で手続きを行います。車庫証明を発行してもらうにはいくつかの書類が必要です。それが以下です。

  • ①自動車保管場所証明申請書
  • ②保管場所標章交付申請書
  • ③保管場所の使用権原を疎明する書面(下記いずれか)

    ・保管場所使用権原疎明書面(自認書)/車庫が自己所有の場合

    ・保管場所使用承諾証明書/車庫が賃貸の場合

    ・「A」又は「B」の書面の代わりの駐車場の賃貸契約書コピー

  • ④使用の本拠の位置が確認できるもの

     (三カ月以内に取得した住民票、運転免許証のコピー、公共料金の領収書、郵便物等)

  • ⑤保管場所の所在図・配置図

自動車保管場所証明申請書や保管場所の所在図・配置図については、警察署で書式をもらうことができます。またネットなどでダウンロードも可能です。保管場所の所在図・配置図にはクルマの保管場所の図を記入する必要がありますが、図を描くのがあまり得意ではないという場合は、Googleマップをプリントアウトし、それに書き込みを行って書類に貼り付けても構わないようです。

賃貸の場合に必要な自動車保管場所使用承諾証明書は、その駐車場を管理する不動産屋や大家さんなどから手に入れることが可能です。必要な書類を全て用意し、必要な項目に正しく記入したら、管轄する警察署に行き書類を提出します。その際印鑑が必要となることがあるので印鑑も持っていきましょう。

普通車の場合車庫証明は即日発行とはなりません。だいたい3~7日かかり、後日、受け取りに警察署に行かなくてはなりません。手数料は地域によって変わりますがだいたい2,000円ほどかかります。

注意しなくてはいけないのが警察署の受付時間は9時から17時までということ。また、土日や祝祭日、年末年始も受け付けてもらえませんので忘れずに覚えておきましょう。

車検証の住所変更手続き
ナンバー変更の際はクルマも必要

車庫証明が手に入ったら、次は車検証の記載事項変更(住所変更)を行いましょう。手続きには以下の書類が必要です。

  • ①自動車検査証

    いわゆる車検証です。

  • ②申請書(手数料納付書、自動車税・自動車取得税申告書、申請書)

    こちらは全て陸運局で入手可能です。変更手続き当日に入手すればいいでしょう。

  • ③手数料納付書

    印紙を購入する必要があります。

  • ④自動車保管場所証明書

    車庫証明です。発行から1カ月以内のものが必要です。

  • ⑤新住所を確認できるもの

    三カ月以内に取得した住民票、住所変更した運転免許証のコピー、公共料金の領収書、郵便物等を用意しましょう。

手続きを行うのは、新しい住所を管轄する運輸支局や検査登録事務所、軽自動車の場合は軽自動車検査協会となります。必要書類は上記のものですが、申請書などは運輸支局や検査登録事務所に用意されているので当日入手すればいいでしょう。

なお、印鑑も忘れずに持っていきます。住所変更にかかる費用ですが変更登録手数料は350円ほど。手数料納付書と申請書にもそれぞれ100円程度かかります。さらにナンバープレートの変更がある場合は地域によりますが1,700円前後の手数料が必要です。また、ナンバー変更の際に希望ナンバーにしたいという場合はさらに5,000円ほど必要です。

当たり前ですが、ナンバーが変更となる場合はナンバープレートを付け替える必要があるので陸運局にクルマを持ち込まなければなりません。忘れるとナンバーの交換ができません(住所変更も)ので注意しましょう。

ちなみに軽自動車の場合は、手続き場所が軽自動車検査協会にかわるだけで基本的な手続きの手順は同です。

自賠責保険や
任意保険の住所変更方法

住所変更は自賠責保険や任意保険でも必要です。ただし、自賠責保険は車検の際に一括で支払うものですので住所変更をしなくても特に大きな問題はありません。なぜなら自賠責保険は契約者の住所や氏名でなく車台番号によって管理されているからです。

そのため万が一の際にも保険料は支払われますし、次回の車検の際に住所を変更するというスタンスでも大きな問題はないでしょう。ただ、自賠責保険の住所変更手続きは保険会社に連絡を入れ、書類を送るだけの簡単な手続き済みますので他の手続きと合わせて一緒に行っておいてもいいでしょう。

任意保険に関しては、自賠責保険とは違って住所変更手続きが絶対に必要です。忘れずに速やかに行ってください。万が一忘れると最悪事故の際保険金が支払われないこともあり得ます。

その理由は、任意保険は契約の際に契約者の氏名や住所、年齢、使用目的、社名、登録番号などの告知事項を正確に報告する義務があり、この告知事項をもとに保険料が算出されているからです。もしこの告知内容に変更(引っ越ししたなど)があった場合は、それを速やかに通知しなければいけないという通知義務もあります。

ですから住所が変わったらすぐにでも変更の手続きをしなくてはならないのです。もし住所変更せずに事故やトラブルなどに巻き込まれた場合はどうなるか。契約内容の変更を怠ったことによる通知義務違反ということになり、なんと補償が受けられないという事もあり得るのです。

せっかく高い保険料を払っているのに、必要な時に補償が受けられないというのは最悪です。それがもし人身事故などであれば、被害者に賠償ができず、互いに一生を棒に振ってしまうかもしれません。ですから、引っ越ししたら忘れずに車検証と任意保険の住所変更は行いましょう。くれぐれも忘れないでください。

カーリースは途中解約できない
だからこそ速やかに住所変更を

就職、転勤、結婚、子供の誕生や独立、または退職など、引っ越しのきっかけは様々です。引っ越しすると様々な手続きが必要となりまた、新天地での生活に向けやるべきこともたくさんあります。そのため、まずは生活の基盤を固めてから、と、引っ越しをきっかけにそれまで乗っていたクルマを手放すという方も少なくないようです。

しかし、カーリースで契約したリース車の場合はそうはいきません。なぜなら途中解約は基本的にできないからです。それに引っ越ししたとしてもリース車はそのまま乗り続けることが可能です。そして、そのために必要なのが車検証や保険などの住所変更なのです。

リース車であればそのクルマの所有者であるリース会社に連絡すれば、住所変更手続きの代行を、有料ですがお願いすることができます。ただ、その費用は決して安くはありません。引っ越しには何かとお金がかかります。こういったことを自分でやれば費用を節約することができるのでもしあなたが平日に時間が取れるのであれば、節約もかねて一度経験してみるのもおススメです。手間と時間はかかりますが、手続き自体は決して難しくありません。面倒でもやってみる価値は大いにあるはずです。