ファミリーカーの定番としてすっかり定着したMクラスミニバン。代表はトヨタのノア/ヴォクシー/エスクァイアに日産のセレナ、そしてホンダのステップワゴンなどですが、どれも非常に完成度が高く人気となっています。

なんといってもちょうどよいサイズに十分な動力性能を持ち、さらに燃費にも優れ、3列シートの充実した居住スペースが得られるのですから、ファミリーユーザーにはこれ以上に便利なクルマはありません。売れているのもむしろ当然のことといえるでしょう。

でも、これらボックス型ミニバン、確かに実用的でとても優れたクルマなのですが、見た目の大きさから収納スペースの広さや積載性などを期待すると、意外に広くなかった、という声もオーナーなどからも聞こえてきます。

居住性を重視したワゴンであり、貨物車であるワンボックスバンではないのですからそれは当然なのですが、そんなMクラスミニバンの積載性に不満をもっているという人も少なくありません。

しかし、そんな不満を持つ方にぜひおススメしたいクルマが2019年1月、トヨタから発売となりました。それが『ヴォクシーMU』です。

サードシートがあるせいで、
広いようで意外に狭いラゲッジ

Mクラスミニバンのラゲッジスペースを最大限に活用しようとしたときに障害となるのがサードシートです。そもそもサードシートがあるから7人、8人と多人数乗車ができるのですから、それこそがヴォクシーやノアといった、Mクラスミニバンの魅力のはず。しかし、いざ荷物を積載しようとすると、その便利なはずのサードシートのせいでラゲッジスペースが制限され、思っていたよりも荷物が積めない!ということが起きてしまうのです。

でも、サードシートには格納機能があるのだから、しまえばいいので?と思いますが、その手間も思いのほか面倒なのです。

それに、床下収納のステップワゴンは別としてトヨタ、日産車の双方は左右跳ね上げ式。収納するのが面倒なうえ、跳ね上げたシートのせいで横方向のスペースが制限されてしまいます。そのため見た目にはとても大きく見えるのに積載性は期待するほど高くはないのです。

そもそもサードシート自体、使用頻度が高いわけではないので、多人数乗車をしないなら、いっそないほうがむしろ便利なのではという気もします。

広々とした2列シートのMクラスミニバンで、余裕のあるラゲッジスペースがあれば、アウトドアスポーツやキャンプなどにも便利ですし、ベビーカーなどの積み込みも楽にできそうですよね。また、流行りの車中泊にも使いやすそうです。

かつては、そんな2列シートMクラスミニバンもありましたが今はそのようなグレード設定されていません。

しかし、2019年に1月こんな純正コンプリートカーが発売されていました。それが、トヨタのカスタマイズブランド、モデリスタが手掛けるコンプリートカー、ヴォクシー「MULTI UTILITY(MU=エムユー)」です。

サードシートの格納の手間いらず
大きな荷物も余裕で積み込める


(引用:トヨタ公式HP)
 

モデリスタはトヨタ車のカスタマイズ&ディベロップを手がけ、さまざまなカスタマイズパーツやコンプリートカーなどを作っているトヨタ車のカスタムブランドです。

そのモデリスタがトヨタのMクラスミニバンであるヴォクシーのコンプリートカーとして発売を開始したのが、ヴォクシー(ノアやエスクァイアにも同じコンプリートカーを設定)「MULTI UTILITY(MU=エムユー)」なのです。

純正カスタマイズブランドが手掛けるコンプリートカーなので、もちろん全国のトヨタディーラーで購入することが可能です。

そして、その最大の特徴が、ヴォクシーのサードシートを省略して2列5人乗り仕様にしたこと。つまり前述したように、広々としたラゲッジスペースが使えるヴォクシーとなっているというわけです。

めったに使わないサードシートを取り除いたので、常にラゲッジスペースを最大限に活用することが可能です。大きな荷物を積み下ろしするたびにサードシートを格納するための手間も省けます。

ショッピングモールやホームセンターで購入したかさばる荷物を積み込んだり、アウトドアスポーツやキャンプ道具を積み込んで仲間とワイワイ出かけたりなど、サードシートがないからこそ、さまざまなユーザーのニーズに対応できる、とても魅力的な一台になっているというわけです。

もちろん単にサードシートを取り去っただけではありません。ほかにも、とても魅力的な専用の装備が満載されています。

広いだけでなく小物の整理にも
便利な専用装備を設定


(引用:トヨタ公式HP)
 

まずMUだけの専用架装装備として、ラゲッジスペースのフロアが、水や汚れに強く手入れが簡単なオーク木目調の「MU 専用フロア」となっています。素材には耐摩耗性に優れた硬質塩ビを採用しており、水や泥汚れなどをサッとふき取りことができることが可能。ですからアウトドアグッズなども汚れを気にせず積み込むことができます。

それに、明るいフローリング調のデザインもなかなかスタイリッシュ。単に実用的なだけでなくアウトドアイメージを演出してくれるおシャレな装飾にもなっているわけです。

また、ラゲッジスペースのフロアボード(床)は開閉式になっており、これを開けると床下には幅約1,200mm×深さ約210mm×奥行約570mmのたっぷりとした「床下収納」が用意されています。これだけでも結構なスペースで、散らかりやすい物などを目立たないように収納しておくのにとても便利です。

また、ちょっとした装備ですが、天井部分に内蔵された「ハンガーフック」もなかなか便利そう。その名の通りハンガーなどをかけておけるという小さなフックなのですが天井からはみ出すことなくスマートに設置されていて、着替えの際に上着などをかけておくことができますし、また、車中泊の時にはランタンなどをぶら下げておくのにもきっと重宝するはずです。

そして、本来サードシートを跳ね上げておくためのラゲッジスペースの左右にも、小物入れ付きのついた「クォータートリムカバー」を用意。これも、洗車道具など小物の整理にきっと役立つでしょう。

他にはMU専用デザインの消臭、抗菌、吸遮音性を持つフロアマットや、専用ロゴデカールなどが装備されています。専用装備の内容を見てみると外観の変更点はほとんどありませんが、ラゲッジスペースを生かしことのできる役立つ装備は満載です。

Mクラスミニバンを買ってみたはいいけれどサードシートは結局年に一度くらいしか使わなかった…。といった経験のあるミニバンオーナーはきっと少なくないはず。そのような方にとっては、ヴォクシーMU、非常に魅力的な存在なのではないでしょうか。

ラゲッジに使い勝手を高める
魅力的な専用オプションも用意

ヴォクシーMUには、ぜひ合わせて装備しておきたい専用の販売店装着オプションも多数用意されています。その中でも、おススメしたいのが「マルチユースボード」(税抜き12万円)です。

2枚のボードと、そのボードを支える各4本の脚で構成されているのですが、これをラゲッジスペースに設置すれば、1200㎜×900㎜の真っ平なスペースを作り出すことが可能です。そして、セカンドシートを寝かせると車中泊時のベッドにも利用できる余裕ある空間が作り出せます。

そのままだとセカンドシートとの間に段差ができてしまい快適に眠るのは難しそうですが、同じくオプションとして段差を解消してくれる「エアスリープマット」(税抜き2万円)が用意されているのであわせて使用すれば、快適な車中泊スペースが完成するというわけです。

マルチユースボードは1枚あたり許容荷重が最大100kgと十分な強度を持っているので、ラゲッジスペースの仕切り棚として、その上に重い荷物を載せることも可能です。さらに、車外に持ち出せば、テーブル&ベンチセットとして幅広く使用することも可能です。

専用装備なので収納性にも考慮されており、未使用時は、脚を取り外し、セカンドシート背面に付属のベルトで固縛することができるので普段もじゃまにもなりません。価格はちょっと高めですが、ヴォクシーMUを手に入れたらぜひとも合わせて購入しておきたい装備です。

ほかにもオーク木目調のフロアとマッチしたブラウン/ベージュの配色がオシャレな「MU 専用シートカバー」(税抜き8万9,000円)などが用意されており、インテリアを明るく演出してくれます。ヴォクシーMUの見た目はノーマルのヴォクシーとあまり変わらないので、こういった専用装備で差別化を図るのも良いですね。

ヴォクシーMUはコンプリートカーなので、ヴォクシーの主要グレードをベースに架装することが可能です。ですからヴォクシーでも人気の特別使用車ZS煌Ⅱをベースとして選ぶことが可能となっています。価格は以下の通り。

 

ベース車両 希望小売価格(消費税8%込)
特別仕様車 ZS“煌(きらめき)Ⅱ” 2WD 301万8,600円
特別仕様車 ZS“煌(きらめき)Ⅱ” 4WD 321万3,000円
ZS 2WD 292万4,640円
ZS 4WD 311万9,040円
X 2WD 267万1,920円
X 4WD 287万7,120円

 

ベース車両に対して、15~18万円ほどのアップとなっています。シートがなくなったのに価格がアップとなっていることに疑問を感じる方もいるかもしれませんが、ヴォクシーMUは、カタログモデルではなく、一台ごとに持ち込み登録が必要なコンプリートカー。

ベースモデルに後から手を加えてMU仕様としています。手間がかかっているのですからそれでこの価格差なら、十分にお買い得だといえるでしょう。

何よりカタログモデルにはない、広々としたラゲッジスペースに魅力を感じるなら選ぶ価値は間違いなくありです。興味のある方はトヨタのWEBサイトなどで詳しくチェックしてみてください。

ちなみにこのMU仕様は、ヴォクシーだけでなく、兄弟車のノアやエスクァイアにも用意されています。架装の内容などは同じですが、エクステリアデザインや純正装備などの内容が細かく違っていますので、ノアやエスクアィアのほうが良いという方はそちらもの情報もチェックしてみてださい。