日産の軽自動車規格のBEV「SAKURA(サクラ)」。車両価格約240万円~と、軽自動車と考えると安くはありませんが、国の補助金や自治体の補助金を利用するとかなりお得に購入が可能。きっと本気で買い替えを検討されているという方もいることでしょう。

ただ、ガソリンエンジン車から乗り替えた場合、BEVであるSAKURAは従来の軽自動車と同様に実用的に使えるのでしょうか。BEVの走行距離はバッテリー容量で決まりますが、軽自動車であるSAKURAのバッテリーは少し少なめ。

メディアは盛んにSAKURAをほめたたえていますが、実際のところはどうなのでしょう。今回は話題の日産SAKURAのバッテリー容量とその走行距離や充電時間、電費などについて調べてみました。

バッテリーの電力だけで走行する
軽自動車のBEV(電気自動車)SAKURA

バッテリーの電力だけで走行する軽の電気自動車SAKURA
(引用:日産公式HP)

日産「SAKURA」は動力に電気と電動モーターを使用した電気自動車(BEV)です。ガソリンを使用せず、大容量のバッテリー(電池)に充電を行い、そのエネルギーだけで走行するというものです。

ちなみにいわゆる電気自動車(電気をエネルギーとして使用し電気モーターで駆動を行う自動車)は、以前はどんな種類もEVと呼ばれていましたが、最近はガソリンなどの燃料を使わず電気のみで走る自動車、例えば日産のリーフやSAKURAなどはBEV(Battery Electric Vehicle・バッテリー式電気自動車)と呼ばれるようになっています。

他にも電気自動車(EV)には、HEV(ハイブリッド)やPHEV(プラグインハイブリッド)、FCEV(燃料電池車)などがあります。こういったクルマもEV(モーターで走行する)ですのでそれらのEVと区別するためにバッテリーの電気のみで走る車がBEVと呼ばれるようになっています。

閑話休題。そんなBEVにはバッテリーには駆動用のバッテリーと補機用のバッテリーの2種類が搭載されていますが、走行に使用されるのは駆動用のバッテリーです。

そして、そのバッテリーの大きさ(容量)で、BEVの走行できる距離は決まってきます。SAKURAは満充電でどれくらい走ることができるのでしょうか。それは従来のガソリンエンジンの軽自動車と比較して十分満足のいくものなのでしょうか。

SAKURAが同際している
駆動用バッテリーの種類と容量は

SAKURA駆動用バッテリーの種類と容量

電気BEVであるSAKURAにはバッテリーが2種類搭載されています。車を走らせるための駆動用のバッテリーと、ヘッドライトやエアコン、カーナビなどといった電装品などのための補機用バッテリーです。

補機用のバッテリーはいわゆる鉛電池で、パッケージの中に希硫酸が入ったものです。カー用品店などにも並んでいますので見かけたことがあるでしょう。もちろんガソリンエンジン車などにも使われています。このバッテリーは扱いに気を付ける必要はありますが比較的簡単にDIYでの交換も可能です。

もう一つのBEVのバッテリーが駆動用のバッテリーです。こちらは電気自動車にとってもなにより重要(補機用バッテリーも大切なのですが)なもの。こちらのバッテリーの電力がないと、モーターを駆動できず、走ることができなくなります。

BEVに限らず電気自動車(EV)の駆動用バッテリーには主にリチウムイオンバッテリーが使われています。リチウムイオンバッテリーが使われている理由は大容量で軽いということ。さらに、充電池の弱点ともいうべきメモリー効果がないというのも大きな特徴です。

このメモリー効果とは、充電池の電力を使い切らないうちに、継ぎ足す形で充電を繰り返すと、徐々にその電池が持つ容量いっぱいまで充電できなくなってしまうという特性です。

昔の充電池はそういったメモリー効果が顕著でした。そのため、一度容量が完全にゼロになるまで放電を行ったのちに満充電を行うといったリフレッシュ処理が必要とされていましたがリチウムイオン電池にはそんなメモリー効果がありません。だからBEVに適しているのですね。

SAKURAなどBEV車のカタログを見ると、諸元表には搭載されているリチウムイオンバッテリーの容量が記載されています。ガソリンエンジンでいうところのガソリンタンクの容量のようなものですね。

その単位はkWh(キロワットアワー)でこれがバッテリーの容量を示しています。ではSAKURAのバッテリー容量はどれくらいなのかというと20 kWhとなっています。多いのか少ないのかどうなのかというと、BEVとしてはちょっと少なめです。

20 kWh(キロワットアワー)は、1時間あたりの電力量を表しています。電力を表す基本の単位は「W(ワット)」です。中学で習ったと思いますが、A(アンペア、電流)×V(ボルト、電圧)=W(ワット、消費電力)です。

例えば、50Wの電球があったとします。この電球を光らせるためには50W の電力が必要ということになります。そして、50Wの電球を1時間光らせ続けるのには50Wh(0.05 kWh)の電力量が必要ということになるわけです。

サクラの充電池容量20kWhは、定格出力20kWのSAKURAが搭載するMM48型電気モーターをフルで1時間使い続けることができるということになります。これはフルパワーで1時間という意味ですので、満充電で1時間しか走れないということではありません。常にフルパワーが使われるわけではないので、それ以上の距離をもちろん走行することが可能です。

SAKURAの電費(ガソリンエンジンの燃費に相当)はWLTCモードで124Wh/㎞。1㎞走行するのに124W(0.124kW)の電力が必要ということになっています。

そして、満充電でどれくらいの距離を走行できるのかというと、Sカタログの諸元表によるとWLTCモードで180㎞。つまり、満充電の状態からバッテリーを使い切るまでに180㎞走行できるということになっています。

180㎞というと東京の日本橋を起点に考えると、静岡の焼津や福島のいわき市、栃木県の白河市がだいたい180㎞くらいです。満充電ならそういった地域まで走ることができるということでしょうか。そう考えると、結構走ることができます。でも本当のところはどうなのか。

SAKURAの実際の走行可能距離は
満充電でおよそ120㎞

SAKURAの走行可能距離

ただ、180㎞というのはカタログスペックです。カタログスペックが実走行と同じではないというのは、燃費などでもおなじみですね。実際のSAKURAの走行可能距離ですが、ネットなどを検索してみた限りだいたい120㎞前後の様子。

BEVは渋滞など交通状況やエアコンの使用、未使用(ガソリン車のエアコンはエンジンの動力でコンプレッサーを回し、熱はエンジンからの排熱を使用するのでそこまで大きく変わらない)によって電費が大きく左右されるので、だいたい110㎞から130㎞くらいを目安としたほうが失敗はないのでしょう。

じゃあ120㎞先までSAKURAで出かけてしまって大丈夫なのか? というと、これも微妙なところ120㎞先に確実に充電できる設備があって、その充電設備が常に空いているのであれば、いいのですが、BEVが増えてきたこともあって最近は充電器の充電待ちなども一部で起きているといいます。そうなると満充電から充電を行わずに帰ってこられるくらいの距離、片道60㎞くらいが、安心して出かけられる範囲と考えるのが安全かもしれません。

では、東京を起点に60㎞となるとどれくらいまで走ることができるのか? 西に行くと神奈川の大磯や山梨の上野原市くらい。東なら成田空港の少し先くらい。北は茨城の古河市くらいですね。

となると、SAKURAで関東圏から不安なく脱出するのはどうやら無理そうです。この満充電で120㎞、往復を考えると片道60㎞というのは十分だと思いますか? それとも足りないと感じるでしょうか。

ガソリンエンジンのN-BOXなら
満タンで約500㎞も走ることができる!

SAKURA満充電でおよそ120㎞走行可能

満充電で120㎞ではとても足りないと感じるのであれば、ガソリンエンジンの軽自動車からSAKURAに乗り替えると不満を感じるのかもしれません。

ちなみにガソリンエンジンを搭載するホンダのN-BOXのノンターボモデルは、WLTCモード燃費21.8㎞/Lで、実燃費は18.5㎞/Lといったところ。ガソリンタンクの容量は27Lなので、単純に18.5(㎞)×27(L)とすると、499.5(㎞)となります。

つまり満タンから空になるまで走り続けると499.5㎞も走ることができるということになります。SAKURAのざっと4倍です。東京起点なら西に行くと姫路の先まで。北に行けば盛岡の先にまで走ることができるのです。

満タンで往復するとしても、その半分の250㎞なら、西に行って愛知の豊橋の先、北なら山県の米沢市くらいまで行って戻ってくることができます。関東圏脱出なんて楽々です。やはりまだまだ軽のBEVだと、ガソリンエンジン車との差は小さくはないようです。

軽自動車の平均的な使い方であれば
SAKURAのバッテリー容量は十分

平均的な使い方であればSAKURAのバッテリー容量は十分
(引用:日産公式HP)

じゃあ、ガソリンエンジンの軽自動車から、BEVのSAKURAに乗り替えるのはそれほど不便になるのか、というと、実はそんなことはありません。なぜなら、軽自動車でそこまでの長距離を走るという方はあまりいないからです。

日産によると「軽自動車及びコンパクトカーのユーザーの約8割は、一日あたりの走行距離が50km以下」とのことです。そういった使い方であれば、満充電で120㎞。往復で片道60㎞は十分な性能といえます。

おもな使用目的が、お買い物やお子さんの送り迎えなどであれば一日50㎞も走行しないという方だってきっとたくさんいるはず。50㎞走行して自宅の充電器につなげば翌朝にはバッテリーは満タンです。

これならガソリンスタンドに行く手間もいりませんし、自宅充電なら費用だって格安です。家庭で充電した場合の電気代は契約している電力会社やプランによって異なりますが、だいたい1kWhで20~30円程度というのが一般的だそうです。

するとバッテリーが50%の状態で満充電するのにだいたい200円から300円ということ。ガソリンは今価格が高騰しているので300円では1.8Lくらいしか入れられ(2022年10月現在の160円/Lで計算)ません。比べるとBEVのほうがお得ですね。

充電時間に関してですが、自宅に設置された2.9kWの普通充電器なら20kWhをフル充電しても約8時間程度。50%からの満充電なら4~5時間程度でしょう。一晩あればつねに満充電です。さらに、自宅近くに急速充電機があれば30分で約50%(約90km分)まで充電可能なので、時間がない時でもさほど不便はないはずです。

毎日に充電しなくても、1日の平均走行距離が30kmくらいなら、4日に1回自宅で充電するだけで事足りるでしょう。こう考えると十分実用的に使えるとは思いませんか。これで価格が安ければかなり魅力的です。

充実した補助金が満額使えれば
約130万円でSAKURAは買える

補助金が満額使えれば約130万円でSAKURAが買える
(引用:日産公式HP)

このように考えてみると、日産SAKURAの満充電で180㎞(十走行距離は約120㎞)というのは十分実用的な性能といっていいと思います。ほとんどの軽自動車オーナーはこのスペックで不満を感じることはないのではないでしょうか。

ただ、価格面ではさすがに高いと言わざるを得ません。安いグレードでも239万9,100円なので軽自動車と考えるとやっぱり高価です。ただ、BEV他、クリーンエネルギー自動車には国や自治体から手厚い補助金が出ています。

SAKURAの場合、東京都にお住いの方なら国から55万円、東京都から60万円の補助金が受けられるうえ、さらにエコカー減税の減税額1.56万円を合わせると最大で116万5,600円の優遇が受けられるのです。

となると実質240万円のSAKURAが130万円以下で買えるということになります。これならかなりお得です。むしろ安い。とても現実的ではないでしょうか。

ただし、補助金に関して、すでに用意された枠の上限額に達してしまい今からでは優遇が受けられないのではないかという噂もあります。

でも、ここまで注目されているとなれば国としても追加予算でさらなる補助金を、期間を開けずに用意する可能性が高いです。SAKURAや他のBEVを本気で購入することを考えているならそういった情報は常にチェックしておくといいでしょう。

リースナブルなら補助金を使うと
SAKURAが月々6,600円で乗れる!

リースナブルなら補助金を使うとSAKURAが月々6,600円で乗れる
(引用:日産公式HP)

SAKURAは十分実用性が高く、初めてのBEVとして購入するのも意外に悪くない、ということがご理解いただけたでしょうか。とはいえ、進化の早いBEVを買うというのはちょっと悩みどころだ、という方は買うのではなくカーリースでSAKURAを利用してみるといはいかがでしょう。

業界最安の新車リースをうたう、「リースナブル」は、BEVのSAKURAやリーフのリース車を用意しています。SAKURAなら、補助金が利用できるので最安プラン(国と自治体の補助金を利用)なら月々6,600円(税込)×60回+ボーナス加算99,000円(年2回)で乗ることが可能です。

リースナブルなら9インチディスプレイオーディオやETC車載器、インテリジェントアラウンドビューモニターや再度バイザー、フロアマットなどのオプション装備が標準で装着されるのでさらに得です。

BEVなどの電気自動車のバッテリーは日進月歩で進化していきます。購入しても数年後にはスペックが物足りないものになるのなら、買うよりもカーリースで乗るのが正解かもしれません。

カーリースなら新車にお得の乗ることができますし、乗り替えも簡単。より高性能で低価格なバッテリーが搭載されたBEVを賢く乗り継いでいくことも可能です。そんなお得なSAKURAのカーリースに関して気になっているという方は是非URLにアクセスしてみてください。

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