迫力のスタイリングと確かな走り、そして広々とした車内にハイブリッドによる燃費性能高さなどから、登場以来安定した人気を保ち続けているトヨタのRAV4

そんなRAV4の中でも、特に人気が高いのがオフロードイメージを強調したスタイリングを持つ「Adventure(アドベンチャー)」グレードです。

しかし、そんな人気のアドベンチャーには、なぜかハイブリッドの設定がありませんでした。でも、つい先日そのRAV4のアドベンチャーについにハイブリッドが設定されたのです。合わせて細かなマイナーチェンジも実施。これを待っていたというRAV4ファンもきっと少なくないはず。

そこで、注目のRAV4アドベンチャーのハイブリッドに関して、その詳しいスペックや気になる価格、さらに一部改良ではどのようなポイントに手が入ったのか、これらについて詳しく紹介します。

専用デザインを採用することで
RAV4のオフロードイメージを強調

トヨタRAV4
(引用:トヨタ公式HP)

それまでのちょっと中途半端にも感じられたソフトなイメージを一新し、いかにもオフローダー的なハードなスタイリングを手に入れ、登場後から人気が急上昇しているのがトヨタRAV4です。

おそらく、SUVのトレンドがクーペやサルーンのような乗用車的なものから、原点回帰したかのようにハード系へと移行していたというタイミングも良かった(トヨタはそんなトレンドに乗ったのでしょうが)のでしょう。

現行モデルの国内投入からすでに2年以上が経過しているのにかかわらずその人気はいまだに衰えていません。それはデータからもわかります。2021年上半期の販売台数ランキングを確認してみると安いクルマではないのに13位です。あのプリウスよりも売れているのですからこれはたいしたものです。

そんな売れ行き好調のRAV4のなかでも、特に人気となっているグレードがオフロードイメージを強調した「Adventure(アドベンチャー)」グレードです。

なぜアドベンチャーグレードが人気なのか。その理由はいろいろ考えられますが、例えば専用カラーの渋いアーバンカーキのボディカラーが用意されているということもそうでしょう。オフロード車っぽい雰囲気を強調するにはカーキがとてもマッチしていてクールで格好いい。

さらに、車高を高く見せる効果もあるカーキとグレーメタリックのツートンカラーもアドベンチャーのみの設定となっています。

また、ブラックアウトされたフロントグリルや、専用デザインのバンパー&スキッドプレートなどの装備も、ワイルドで実に魅力的。ハリアーやカローラクロスにはないこのようなハードなスタイリングや魅力的な装備によって、RAV4アドベンチャーグレードは多くのSUVファンの心をひきつけているのです。

とはいえハードなイメージ、オフロード車っぽい雰囲気、とはいっても、RAV4の中身はあくまで乗用車ベースのクロスオーバーSUVです。4WDグレードの走破性はなかなか侮れないものがありますが、ランドクルーザーほどの本格派でなく、その分乗り心地も快適で燃費などの経済性にも優れているファミリーカーとしての汎用性の高さもむしろRAV4のアドバンテージになっています。

このちょうどいいバランス感と、なによりもワイルドな分かりやすい格好良さが人気の理由なのではないでしょうか。

ただ、このRAV4アドベンチャーグレードには一つ欠点というか惜しい点がありました。それはRAV4にはハイブリッドモデルが設定されているのに、なぜか人気の高いアドベンチャーグレードはハイブリッドの設定がなかったのです。トヨタの最新SUVなのにハイブリッドが選べないというのは惜しいですよね。

走破性に優れたRAV4ガソリンエンジングレードの「ダイナミックトルクベクタリングAWD(4WD)」が、ハイブリッドになると簡易的な電気式4WDであるE-Fourとなってしまうことから、アドベンチャーグレードにはふさわしくないという判断で設定がなかったのでしょうか?

Adventureハイブリッド新設定に加え
ヘッドランプやホイールのデザインを変更

トヨタRAV4
(引用:トヨタ公式HP)

しかし、2021年12月1日、そのRAV 4 アドベンチャーグレードについにハイブリッド車が追加設定されました。それと共に、RAV4、RAV4 PHVすべてに一部改良も実施されています。

一部改良の主な変更内容としては、まずボディカラーにアッシュグレーメタリック×グレイッシュブルーが新設定。このツートンカラーはRAV4 アドベンチャーグレードのみが選べるカラーリング。クールでありながらなかなか個性的でアドベンチャーのハードなスタイリングに似合っています。

ただし、このツートンは+55,000円(税込)のメーカーオプション。それなりの出費が必要です。他の変更点としてはヘッドランプが変わっています。変更されたのはハイブリッドグレードとPHVのみでガソリン車は従来のままですが、当然RAV4アドベンチャーグレードのハイブリッド車もヘッドライト新デザインに変わっています。

レンズの形は従来のRAV4と変わっていませんがそのレンズの奥の灯体の構成や配置、形状などが大きく変わっているのがポイント。複数のLEDが多角形に配置、構成された複雑な形状で、シャープでクールな印象に大きく変わっています。

また機能的に向上していて、LEDであるのは同じですが、オートレベリング機能付のBi-Beam LEDヘッドランプとなっている。このBi-Beamというのは1灯の光源で、ロービームとハイビームの切り替えが行えるというランプの事です。

さらに、クリアランスランプ(デイタイムランニングランプ機能付き)とターンランプ(ウインカー)もLED化。クリアランスランプは、ヘッドランプを上下に区切った上部に配置された多角形の部分ですが、これによって精悍な顔つきになっています。ガソリン車の通常ヘッドランプ(こちらもLEDです)と比べるとその違いは明らかで、目元が変わるだけでその印象が大きく変わっているのが分かるはずです。

19インチのアルミホイールは
クールなマットカラーを採用

トヨタRAV4
(引用:トヨタ公式HP)

またアルミホイールのデザインも変更となっています。こちらはハイブリッドやPHVだけでなくガソリン車も含めた全RAV4が対象。アドベンチャーグレードは、235/55R19でマットグレー塗装となっています。

以前のアドベンチャーグレードのアルミホイールはシルバーとマットブラックのツートンで、そちらも格好良かったですが、オフロード車イメージを強調するには新しいマットグレーのホイールの方が似合っているかもしれません。

特別仕様車のアドベンチャーグレードのオフロードパッケージはマットブラック一色で、こちらの評判がよかったですからベースであるアドベンチャーグレードでもマットカラー一色としたのかもしれませんね。その他大きな変更点はありません。一番のトピックはやはりRAV4アドベンチャーグレードにハイブリッドが追加設定されたということでしょう。

RAV4ハイブリッドはRAV4に
最適化した電気式4WDのE-Four

トヨタRAV4
(引用:トヨタ公式HP)

RAV4アドベンチャーグレードのハイブリッドに関して、4WDは他のハイブリッドグレードと同じE-Fourです。E-Four はモーターを使った電気式の4WDシステムです。つまり後輪はモーターのみで駆動する。エンジンからの動力は一切後輪には伝えずに済むのでプロペラシャフトやディファレンシャルギアなどが不要。その分シンプルで軽量なメカニズムで済むというメリットがあります。

ただし、走破性などに関しては一般的な機械式4WDシステムには及ばないとされています。あくまで簡易的な4WDで、後輪が滑った時にだけ後輪が駆動力を発揮し、雪道や雨などで滑りやすい路面でより安定した走りを可能にするというもの。いわゆる生活四駆です。

でもそれだとRAV4のハードなイメージに合わないですよね。特にRAV4のアドベンチャーグレードともなれば、見た目がごついので、その4WDが生活四駆レベルでは購入者も納得はしないでしょう。

しかし、RAV4のE-Fourは従来のE-Fourよりもレベルが一つ上のRAV4に見合ったスペックを持っています。まず後輪モーターの出力がパワフル。後輪モーターだけで54馬力のパワーがあるのでかなりのもの。従来のE-Fourとくべると後輪の最大トルクは1.3倍に増加しているとのこと。

そして、走行状態に応じて前後トルク配分を100:0〜20:80の範囲で制御し、緻密なコントロール。前輪がすべった時だけ後輪が駆動するのではなく、滑りやすい路面では常に効果的に前後輪の駆動力をコントロールしてくれるので、ちょっとした悪路なら、かなりの走破性が期待できます。

加えて4WDならではの高速走行時の安定性にも優れています。同じE-Fourでも、プリウスなどの場合、後輪モーターが駆動するのは発進から40~70km/hまでに制限されています。でもRAV4ハイブリッドのE-Fourは最高速度(180km/h)まで後輪モーターが駆動するような制御となっている。だから高速道路などでも前後輪に駆動力を伝えながら安定して走ることができるというわけです。

こんな優れたE-FourだったらRAV4にもピッタリですよね。だったら最初からRAV4アドベンチャーグレードにもハイブリッドを設定しておけばいいのに、とも思ってしまいますが、トヨタにもいろいろと戦略があるのでしょう。

価格はガソリンエンジングレードよりも
61万9,000円高い410万円6,000円

トヨタRAV4
(引用:トヨタ公式HP)

さて肝心の価格です。新しいRAV4の価格は277万4,000円~となっていますが、RAV4 Adventure ハイブリッド車の価格は410万6,000円となっています。

PHVを除くと、RAV4 Adventure ハイブリッドがRAV4の最上級グレードとなるのでやはり価格も立派。ちなみにガソリン車のRAV4 Adventureは348万7,000円なので価格差は61万9,000円です。この金額差はちょっと悩みますね。

燃費に大きな差があればこの価格差も埋まるかなと思いますが、比べてみるとRAV4 Adventure ハイブリッドのWLTCモード燃費は20.3㎞/L。RAV4 AdventureガソリンのWLTCモード燃費は15.2㎞/Lとなっています。ガソリン車の燃費が思った以上に優秀なのでその差はリッター当たり5㎞ほど。

ガソリン価格が高騰している今はリッター5㎞の差は小さくありませんが、年間1万キロ走行するとして、ガソリン1Lあたり160円でざっくり計算してみると年間26,000円くらいハイブリッド車の方がガソリン代はお得となります。とはいえこれでは61万9,000円の価格を埋めるのはちょっと難しそうですね。

さらにRAV4 Adventureガソリンには“OFFROAD package”という魅力的な特別仕様車が用意されています。こちらは通常のアドベンチャーグレードを元に、最低地上高を10㎜アップ。ブリッジ式のルーフレールや専用ホイール、エンブレムなどを装着し、さらにシートなどの内装までこだわってよりアクティブなデザイン仕立てた特別仕様車となっています。

クロスオーバーSUVのRAV4ながら、クロカン四駆的なテイストを持った本格的(にみえる)SUVとなっていて、非常に格好いい。価格も363万7,000円でベースモデルの15万円アップとコスパも悪くない。筆者的にもRAV4の4WDモデルを選ぶならこのAdventure “OFFROAD package”が一番のおすすめです。人気の高い特別仕様車なので、将来的なリセールバリューも期待できます。

ということで、もしガソリン車の燃費が気にならないなら400万円オーバーのRAV4 Adventure ハイブリッドよりもむしろこっちの方がお買い得といえるかもしれません。

RAV4 Adventure ハイブリッドを
手に入れるならカーリースも選択肢に

トヨタRAV4
(引用:トヨタ公式HP)

新たにRAV4のラインナップに加わったRAV4 Adventure ハイブリッドは見た目もクールで燃費性能も高く、かなり魅力的な一台となっています。

しかし、その装備内容や4WDのスペック、車両価格を見てみると、コスパに関して決して良いとは言い難いかもしれません。もちろんRAV4 Adventureのハイブリッドの登場を期待していた方にとっては魅力的だと思いますが、真面目に購入を検討しているのであれば総支払額や、将来のリセール価格、残価設定ローンなら残価に関して詳しくリサーチしたうえで、購入を決めた方がいいでしょう。

そして「やっぱりこの金額だとローンで購入するには厳しいな」というのでしたら、例えばリースナブルなどカーリース会社に相談してみるというのも悪くない選択です。

なぜなら今や大人気のRAV4ですから、残価も高く設定されているからです。そうなれば月々のリース料金もローンで購入するよりもずっと負担は軽くすむはずです。無理なく新車に乗る方法として、そんなカーリースの利用を是非検討してみてはいかがでしょう。