2023年1月27日、マツダはコンパクトカーの「マツダ2」のマイナーチェンジを実施しました。マツダは年次改良によって毎年ラインナップするクルマをマイナーチェンジ実施していますが今回のマツダ2のマイナーチェンジは、デミオ時代から数えると6回目のマイナーチェンジとなります。

マイナーチェンジなのでボディシェルやパワーユニットなどは大きく変わっていませんが、それでいてデザインを大幅に改良したかなり大きな規模のマイナーチェンジとなっています。さらに、ランナップも一部整理されて、グレード名も変更。かなり力の入った改良が実施されています。では、具体的にどんなポイントが大きく改良されたのでしょう。今回は新しくなったマツダ2の改良点について細かくチェックしてみました。

個性的なフロントフェイスを新採用
デザインがスタイリッシュに一新

マツダ2個性的なフロントフェイスを新採用
(引用:マツダ公式HP)

マツダ2は、もともとはデミオとして売られていたクルマです。5ナンバーサイズのコンパクトカーで2019年9月にデミオという車名からマツダ2へと車名が変更されました。ただし、車体自体は2014年に発売された4代目デミオと基本的に変わっておらず、車名が他のマツダ車と同じようにグローバルモデルと統一したマツダ2に変わったという形です。

ボディタイプは5ドアハッチバックのみで、マツダ2に車名が変更となった際にフロント周りに一部変更が加わりました。高輝度のメッキモールが追加するなどエクステリアの高級感が高められています。マツダは高級ブランド化を目指していることもあって、マツダ2もその流れに合わせて改良されています。ただ、同時に車両価格もアップしています。

パワーユニットは1.5Lガソリンエンジンと、1.5Lディーゼルターボエンジンの2つのタイプというシンプルなラインナップです。特にハイブリッドなどは設定されていません。

今回実施されたマイナーチェンジでは、特にエクステリアのデザインが大きく変更となっています。注目はフロントマスクです。まるで別のクルマになったかのように大きくイメージが変わっています。まず、フロントグリルは天地を短くなっており、マツダ車のアイデンティティともいうべきシグネチャーウイングがブラックに変わっています。

そして、スポーティグレードの「15 SPORT」や「XD SPORT+」以外のグレードは、フロントグリルの大部分をパネルで覆い、新鮮さとクリーンな印象のフェイスとしています。明るいボディーカラーを選ぶと同じカラーのパネルがフロント前面に配されることになり、見た目の印象はかなりのインパクトのあるものとなります。ICE(内燃機関エンジン車)というよりも電気自動車(BEV)のような印象もあります。

また、前後のバンパーやホイールカバーのデザインも変更されており、加えてルーフフィルムを使った2トーンカラーなども設定されるなどかなり大胆にエクステリアを変更しています。グレードも変更されており、従来は13種類もあったのが、全8種類に整理され、選びやすくなっています。価格は152万9,000円~254万1,000円で、マツダのエントリーモデルという位置づけはかわっていません。

グレード体系を整理して
新たに「BD」グレードを設定

マツダ2新たに「BD」グレードを設定
(引用:マツダ公式HP)

グレードはわかりやすく整理されていますが、基本は「BD(ビーディー)」、「SPORT(スポルト)」、「Sunlit Citrus(サンリットシトラス)」という3つのグレードです。ガソリンエンジン車が「15 BD(イチゴ― ビーディー)」、「15 SPORT(イチゴ― スポルト)」、「15 Sunlit Citrus(イチゴ― サンリットシトラス)」で、ディーゼルエンジン車が「XD BD(クロスディー ビーディー)」、「XD SPORT+(クロスディー スポルトプラス)」となっています。

それ以外に、ビジネスユースを狙ったガソリンエンジン車の「15C」と同じくビジネス向けのディーゼル車「XD」があります。また、以前からラインナップされていたモータースポーツベース車である「15MB」も用意されており、新しいマツダ2は全部で8種類のグレードとなっています。

このグレードの中でBDグレードは新たに加わったものでメイングレードという位置づけ。そしてグレードのテーマは「自分らしく、自由な発想で、遊び心をもって」というもの。カラフルなボディーカラーに、2トーンのフルホイールキャップも新たに設定し、ボディーカラーと合わせた充実したカラーバリエーションを展開しているのが大きな特徴となっています。

ボディーカラーだけでなく、インパネにもピュアホワイト、グロスブラック、グロスライトブルーの3色を設定しています。2トーンカラーにできるルーフフィルムはメーカーオプションでドアミラーのカラーと合わせて、ボディ同色以外にもホワイトやブラックなども選択が可能となっています。

ボディーカラーは11色、インパネカラーが3色、フィルムによるルーフカラーが3色、さらにホイールキャップカラー6色が用意を与わせると全部で198通りのカラーコーディネーションが可能となっています。ルーフカラーはフィルムによって行っていますが、こちらは二酸化炭素の排出量と製造時のエネルギーを大幅に削減することを目的としてフィルムとなっているということです。

インテリアはカラーが選べるほかは、特にデザインの変更などはありませんが、インパネに植物由来原料の材料「バイオエンプラ」を採用して、従来の塗装では実現できなかった高い質感を実現しています。そして同時に、石油資源の使用量削減やCO2排出量の抑制、無塗装によるVOC(揮発性有機化合物)の削減などといった、環境負荷の低減にも貢献しているとのことです。

パワーユニットは変更なし
スポーツグレードにはMT車も用意

マツダ2スポーツグレードにはMT車も用意
(引用:マツダ公式HP)

パワーユニットは従来と変わっていません。ガソリンエンジンは最高出力85kW<110PS>(15MBのみ116PS)の1.5L直4ガソリンエンジンで、ディーゼルエンジンは最高出力77kW<105PS>の1.5L直4ディーゼルターボエンジンとなっています。うれしいのがガソリン車の15 SPORTおよびディーゼル車のXD SPORT+には、AT車だけでなくMT車もラインナップされていること。今や少数派のMT車ですが、やっぱりダイレクトに変速できるMTじゃなくちゃ、という方もきっといるはず。おそらく数は売れないでしょうが、それでもちゃんとMT車を用意してくれているのはマツダの良心といえるでしょう。

15 SPORTおよびXD SPORT+にはMTが設定されるほかにも、他のグレードのようなパネルタイプではなくスポーティなグロスブラックのメッシュグリルが採用されているのも特徴です。合わせて16インチアルミホイールや黒を基調に赤いラインやアクセントなどが入ったシートなどの専用装備が装着されているので、見た目も実に格好いい。スポーティなコンパクトハッチが欲しいという方にはこのマツダ2のSPORTグレードはぴったりな一台となってくれるはずです。

そして、個人的にうれしかったのが「15MB」というモータースポーツ向けのグレードを残しておいてくれたことです。プレスリリースやニュースサイトなどでは言及されていませんが公式WEBサイトを見る限りちゃんと新しいマツダ2のグレードラインナップに残っています。諸元表などを見てもデータ掲載されているので販売は継続されるのでしょう。

この「15MB」はモータースポーツを楽しむ方のためのベースモデルで、快適装備などを省いたうえで車重を1040kgに軽量化。そして他のグレードよりもパワーアップした1.5Lガソリンエンジンを搭載し、トランスミッションはMTのみとしたとてもストイックなグレードです。もちろんエアコンや基本的な安全装備は搭載されているので、普段使いにも使えますが、あくまで純粋に走りを楽しむためのグレードです。需要はさほどないでしょうが、こういったグレードをちゃんと残してくれているのはマツダの良心といえると思います。

コンパクトカーに経済性だけでなく
オシャレさやスポーティな走りを求める方に

マツダ2オシャレさやスポーティな走りを求める方に
(引用:マツダ公式HP)

マツダ2は、今や少数派のスポーティなコンパクトハッチバックです。デミオ時代から考えるとかなりのロングセラーになっていますが、今回のマイナーチェンジでデザインを大きく改良したことでまた新鮮な印象に変わりました。特にBDグレード系のオシャレなエクステリアは、デザインにこだわりを持つ方にもきっと注目されるのではないかと思います。

また、ライバルのコンパクトハッチの多くがハイブリッドモデルをメインとした経済性を重視したエコカーとなっている中、スポーティなエクステリアと、パワフルではないけれどMTを駆使してきびきびと走ることのできるお手頃価格で用意してくれているのもまことにうれしい限りです。

もちろん今どきのクルマですから充実した先進安全装備も標準搭載ですし、WLTCモード燃費もガソリン車で20.3㎞/L、ディーゼル車で21.6㎞/Lと大変優秀です。コンパクトカーはなにより経済性が重要だけれど、デザインにもこだわりたい、また、スポーティな走りも楽しみたいという方は、是非この新しいマツダ2に注目してみてください。ライバルにはないその素晴らしい個性がきっとあなたを満足させてくれるはずです。