女性だけでなく最近は男性でもスキンケアに興味のある方が増えています。そのため肌に大きなダメージを与える紫外線に対する意識も年々高まっており男性用のスキンケア商品なども数多く販売されています。また、日傘なども大きめのメンズサイズが人気のようです。

そのように紫外線を意識するようになると、気になってくるのが運転中の紫外線です。四方をガラスで囲まれたクルマは、日差しが車内にまで差し込む最悪の環境。とはいえ最近はUVカットガラスが標準装備となっているといいます。ならば車内では日焼け対策は特に必要ないのでしょうか?

でもドライブに出かけて窓側だけ日焼けをしてしまった、という苦い経験がある方もきっといるはず。UVカットガラスって本当のところどれだけ効果があるのか気になりますよね。

そこで、UVカットガラスがどれだけ効果的なのか、UVカットガラスでも紫外線対策はやはり必要なのか、また、必要であるならどんなことが効果的なのかなどドライブ中の紫外線対策のついて調べてみました。

今どきのクルマはUVカットガラスが標準
だから紫外線対策はしなくても大丈夫?

紫外線が肌に重大なダメージを与える。そんなこと今どき子供でも知っている常識です。そもそも肌は加齢によっても衰えていくものですがそれは「自然老化」であって避けがたいもの。しかし、紫外線による肌の衰えは違います。それは長年紫外線を浴び続けたことによって引き起こされる肌の老化現象で光老化と言われるもの。こちらはUVカット対策など、心がけ次第では避けることが可能なのです。

そんな肌の大敵紫外線ですが、その波長の長さによってUV-A(A波)、UV-B(B波)、UV-C(C波)の3種類に大きく分けられます。このうち、地上まで届いて肌に悪影響を与えるのがUV-AとUV-B。そしてUV-Aが光老化の原因となるものとされています。波長の長いUV-Aは肌の奥まで到達して、肌にダメージを与えてしまうからです。

さらにこのUV-A、やっかいなのが雲や窓ガラスなども通り抜けてしまうこと。つまり、たとえ曇りでも、また家の中にいても肌に届いてしまうのです。常に対策を施していないと肌にダメージを受けてしまうのですね。

ということは車内にいても同じ。ドライブ中であっても紫外線対策が必要なのです。でも、今どきのクルマのガラスはほとんどがUVカットガラスとなっているはず。ガラスがUVをカットしてくれるなら、紫外線も届かないし肌にダメージを受けることはないのでは? そうも思います。でも本当のところどうなのでしょうか。

UVカットガラスでも
紫外線カット率は車種によって違う

まず知っておくべきなのがUVカットガラスを採用しているといっても、車種によってそのUVカット率は違うということです。つまり同じ条件でクルマに乗ったとしても車種によって肌へのダメージが変わってくるということです。

もちろんUVカットガラスなら単なるガラス越しに日差しを受けるのとはダメージの度合いが全く違います。間違いなくあった方がいい。また、最近は従来のUVカットガラスよりもさらに高性能なスーパーUVカットガラスというものがあって、そちらを採用するクルマも増えています。

とにかく紫外線による日焼けや肌ダメージを少なくしたいなら、そういったUVカット率99%などをうたったスーパーUVカットガラス採用のクルマに乗るのがベストです。

例えば、ホンダの軽スーパーハイトワゴンN-BOXなどは全グレード「360°スーパーUV・IRカットパッケージ」が装備されています。これはフロント、サイド、リア360度全てのガラスの紫外線カット率が99%以上になっているということ。

さらに、近年こちらも肌へのダメージが問題視されているIR(赤外線)もカットしてくれるというものです。N-BOXが女性にも人気が高いというのはこういったこともあるのかもしれません。

UVカットガラス装備車でも
全てのウインドウがそうであるとは限らない

では、こういったスーパーUVカットガラスにはどれくらいの効果があるのか。UVカット機能なしのガラスや、普通のUVカットガラスとはどれくらい紫外線カット率に差があるのか以前JAFがテストを行っています。

参考サイト:https://jaf.or.jp/common/safety-drive/car-learning/user-test/temperature/suntan

オープンカーのマツダロードスター、クリアガラスのダイハツエッセ、そしてUVカットガラスの日産キューブ、スーパーUVカットガラスのトヨタアルファードで紫外線カット率をテストしたものです。その結果をまとめたものがこちら。

 

車種 ガラス フロントガラス 全席サイドガラス 後席サイドガラス リアガラス
マツダロードスター オープン状態で計測 343 2620 オープンカーのため後席なし 2015
ダイハツエッセ クリアガラス 6.5 1044 199.2 1006
日産キューブ UVカットガラス 3.2 275 64.9 16.9
トヨタアルファード スーパーUVカットガラス 0.3 0.8 0 0.9

単位はμw/cm2(マイクロワット/平方センチメートル)※UV(紫外線)紫外線強度の単位

オープンカーのロードスターは日光素通しなので論外として、フロントガラスに関してはどのクルマもUVカットガラスとうたわれていなくても、かなりUVカット効果があるということが分かります。

実はクルマのフロントガラスはもともとUVカット効果があるのです。安全上の観点からフロントガラスには、合わせガラスが使用されており、合わせガラスは2枚のガラスの間に中間膜という樹脂膜を挟んだ構造になっています。この中間膜にUVカット加工が施されているので国産車のフロントガラスであれば、UVカット性能がもともと備わっているのです。

ですから上のグラフでクリアガラスとなっているダイハツエッセでも、フロントウインドウに関しては紫外線をカットすることができるというわけです。

じゃあこの表のロードスターはどうなんだ、という疑問がわくかもしれませんが、この実験ではサイドウインドウも下げたフルオープン状態で計測されているので、周囲からの紫外線によってこのような数値になっているのでしょう。

そして、気になるUVカットガラスのキューブと、スーパーUVカットガラスのアルファードの差に関してですが、明らかに違いがあります。特にサイドやリヤガラスにおいてはその差が相当に大きいことが分かります。実は、UVカットガラス装備といっても、合わせガラスではないサイドやリアウインドウは、紫外線カット効果が低いものもあるのです。

しかし、スーパーUVカットガラスを装備したアルファードは全てのウインドウで圧倒的に紫外線カット効果が高くなっています。すべてのウインドウに紫外線99%カットのガラスが使われているのでこの結果になっているのです。

つまり、普通のUVカットガラス装備車の場合は、ある程度の効果は期待できるけれど特に後席に関しては油断禁物であり、スーパーUVカットガラス装備車なら紫外線に対してどの席であっても相当の効果が期待できるということになるわけです。

もし、これからクルマを購入、またはリースでの利用を検討中なら、ガラスがスーパーUVカットガラスなのか、またオプションでスーパーUVカットガラスが選べるのかなどもチェック項目として入れておいた方がいいかもしれません。

ただ、UVカット機能が欲しいからと言ってそれだけを理由にクルマを買い替えるなんてさすがに大げさ。だったらどうするべきか。やはり市販の各種紫外線対策グッズを使うというのが現実的ではないでしょうか。

オプションのサンシェードや
カーテンを使って日差しを遮る

まず最も簡単なのはSPFの高い日焼け止めを常に使うというものでしょう。春先から秋口にかけて特に紫外線の強い時期にクルマを運転する際は、日焼け止めを使うのを欠かさないというのは確かに有効です。

といっても、普段化粧をしない男性やお子さんの場合、日焼け止めを塗り忘れることもありますよね。また真夏なら汗で日焼け止めが落ちるかもしれませんし、やはりクルマ側にも日差しを遮る対策を施しておくのがいいでしょう。

例えば貼り付け型のサンシェードや日よけのカーテンの導入するのはいかがでしょうか。どちらもシンプルに物理的に日差しを遮ってしまうというもの。簡単ですしその効果は絶大です。

ただし、注意点があります。それは運転席や助手席のウインドウにはサンシェードやカーテンを取り付けるのはNGだということです。運転者の視野を妨げることになり道交法違反になってしまいます。

道路交通法第55条第2項(乗車又は積載の方法)

車両の運転者は、運転者の視野若しくはハンドルその他の装置の操作を妨げ、後写鏡の効用を失わせ、車両の安定を害し、又は外部から当該車両の方向指示器、車両の番号標、制動灯、尾灯若しくは後部反射器を確認することができないこととなるような乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。

ただし、後部座席の窓ガラスなら運転者の視野を妨げないのでサンシェードやカーテンを取り付けることはOKです。実際ミニバンなどは、自動車メーカー純正オプションとしてカーテンなどが設定されていることも少なくありません。

キャンプや車中泊でミニバンを使っている方は、レジャー用途にもカーテンは役立つのでつけておいて損はないかもしれません。

ただ、毎回カーテンを開けたり閉めたり(高級ミニバンなら電動式もありますが)、サンシェードを貼り付けるのは面倒。それに法的にはOKといってもリアウインドウをカーテンで覆ってしまうと後方の視界が遮られてしまいます。それがちょっとネックですね。では別の選択肢はないのか。

UVカット効果のあるフィルムを
貼る場合は注意が必要

カーテンやサンシェードがイマイチなら、ウインドウにUVカット効果のあるフィルムを貼るという方法もあります。ウインドウフィルムには色付きのもの、透明なもの、ミラータイプなど様々なものがありますが、特にUVカットカーフィルムとされているものはウインドウに貼る事で窓からの紫外線を効果的にカットすることが可能です。市販のウインドウフィルムのほとんどは90%以上の紫外線カット効果がうたわれていますが、さらに紫外線99%カットというUVカット効果にすぐれたものもあります。

また、IR(赤外線)カット効果も規定できるのでインテリアの日焼け色あせなども防ぐことができ、車内の温度上昇も抑えてくれます。さらにカーテンに比べれば視界も確保できるので安全面でもメリットがあるといえるでしょう。

では、フィルムを貼るのにはどれくらいの費用がかかるのか? 使用するフィルムやウインドウのサイズなどによって変わってきますが、だいたいの相場はこのような感じです。

  • ●軽自動車/18,000円~30,000円くらい
  • ●ステーションワゴン/20,000円~40,000円くらい
  • ●セダン/25,000円~35,000円くらい
  • ●ミニバン/25,000円~50,000円くらい
  • ●輸入車/30,000円~50,000円くらい

大手カー用品店でのフィルム代込みの大まかな施工価格です。ただしあくまで参考価格ですので、詳しくはお近くのお店に問い合わせてみてください。ちなみにフィルムを貼ることができるのは後席のウインドウのみです。フロント周りのガラス(フロントガラス・運転席・助手席)は可視光線の透過率が70%以上必要で、それ以下になってしまうと車検に通りません。そのため基本的にはフィルムは貼らないほうがいいです。

ただ、それでは運転席側のウインドウがUVカットガラスではないクルマはどうすればいいのか、ということにもなりますよね。実はウインドウフィルムの中には透明でありながらUVカット効果を持ちなおかつ透過率の高いものもあります。そういったものを貼るという方法もあります。

ただし、クルマによっては透明なフィルムを貼っても透過率が70%を切ってしまうというケースもあるようです。そうなったら車検に通りません。はじめからウインドウに着色されている車種ではそのようなこともあり得るのです。

自分のクルマの前席側ウインドウにフィルムを貼っても問題ないかどうかは、素人では判断付かないでしょう。もしどうしても貼りたいという場合は、そういったフィルムを用意していて、なおかつ施工を行ってくれるカー用品店や専門店に相談してみるのが間違いありません。

UVカットフィルムはネット通販でも購入可能ですがDIYできれいに貼るのは難易度が高く、またこういった透過率の問題もあるのでプロに任せるのが間違いありません。安易にDIY施工するのは避けた方が賢明でしょう。

UVカットガラス装備車でも
日ごろからのUVケアは忘れずに

紫外線のこと普段から気にしている方も多いですが、自分のクルマのウインドウがいったいどれくらいのUVカット効果をもっているか把握している方はきっと少ないはずです。まずはマイカーがUVカットガラスなのか、それともスーパーUVカットガラスなのかは説明書などで確認してみましょう。

UVカットガラス装備車であってもすべてのウインドウがそうかどうかわかりません。肌を守るためには、さらにフィルムを貼るなりサンシェードを使うなりの対策は行っておくべきです。さらに、春から秋口にかけての長時間のドライブの際には、日焼け止めを塗ることも忘れないでください。特に、お子さんやお年寄りがいるご家庭の場合は、家族のケアも忘れないようにしましょう。