未塗装の樹脂製バンパーといえば、かつてはライトバンや軽トラックなどの商用車や、古いクルマの廉価版グレードなど安いクルマの象徴的なイメージがありました。しかし最近はオフロードのタフなイメージを強調するためにSUVのバンパーやフェンダーモールなどに採用される例が増えてきています。

確かに効果的なのですが、未塗装の樹脂製バンパーには大きな欠点があります。それは白化現象(白ボケ)がおきやすいということ。白ボケは樹脂の表面が徐々に劣化して、白くくたびれた感じになってしまう現象です。

クロスオーバーSUVはカーリースでも今人気のジャンルです。リースの期間はまだ残っているのにすでに白ボケがはじまり困っている、という方もきっといるでしょう。そこで、なぜ白ボケが起きてしまうのか、また防ぐ方法や解消するアイテムなどはないのか?詳しくご紹介します。

未塗装の樹脂製バンパーは
SUVのタフさを演出してくれる

クロスオーバーSUVは相変わらず人気となっていますが、最近はハリアーやCX-5など土の匂いのしない都会派SUVだけでなく、ジムニーやライズ、エクストレイルなどのオフロードイメージを強調した車種の人気が高まっています。

そういったSUVが使用するアイテムとして、増えているのが未塗装の樹脂製パーツです。バンパーやフェンダーアーチ、サイドモールなどに未塗装の樹脂製パーツを使用し、ちょっとした傷なら大丈夫的なイメージをつけ、タフさを強調しているのだと思います。

こういった未塗装の樹脂製パーツは、主にPP(ポリプロピレン)でできています。未塗装なので多少こすれても、塗装がはがれたり傷つくことがありませんし、またPP自体に柔軟性があるので、少しぶつけたくらいなら割れることもありません。そのため確かにオフロード走行にはぴったりなのでしょう。とはいえ、クロスオーバーSUVで実際に本格的なオフロード走行をする(本格的に未舗装路を走るならランクルなどクロスカントリー車の方がベストでしょう)という方は少数派だと思いますが。

狙い通り確かに未塗装のバンパーなどはワイルドでタフなイメージもあって格好もいいです。昔は未塗装の樹脂製バンパーなどは、社用車に使われる廉価版の乗用車や、軽トラック、ワンボックスバンなど、外観をさほど気にしないクルマに使われていたイメージがありますが、クロスオーバーSUVの場合はその目的がそもそも違い、一つの演出物(ジムニーなどの場合はオフロード走行のための実用パーツという目的もあるでしょうが)として使われるようになってきているのです。

それに、本当にオフロード走行を行った場合にも、未塗装の樹脂製パーツなら傷もさほど気にならないだけでなくぶつけてしまい交換となった場合でも、いわゆる塗装されたカラードバンパーよりもその値段が安い。ゆえにコスト的なメリットも大きいわけです。オフロードを走る(可能性もある)クロスオーバーSUVには非常に適したアイテムであるといえるでしょう。

しかし、そんなクロスオーバーSUVにピッタリの、未塗装の樹脂製パーツですが、未塗装であるゆえに大きな欠点もあります。それは、紫外線にさらされると徐々に表面が白くくすんでしまうということ。武骨な黒さでデザインを引き締めていたバンパーやフェンダーが、いわゆる白化現象“白ボケ”を起こして、見た目を悪くしてしまうのです。でもなぜそんなことがおきてしまうのでしょうか。

商用車などは白ボケが目立たないよう
グレーのバンパーを使っている

商用車などの場合、バンパーやフェンダーなどの未塗装の樹脂製パーツが白ボケを起こしても、それで機能的に問題があるわけではありません。そのためあまり気にされることはありません。それに仕事車の商用車の場合、そもそも白ボケが起きても目立たないようにはじめから樹脂パーツのカラーをグレーに着色していることが少なくないのです。つまり白ボケしても気にならないし、そもそも気にする人も少ない。

しかし、それがパーソナルユースのSUVとなればそうもいかないでしょう。洗車やワックスがけをして、せっかくボディパネルをきれいに保っているのに、大きくて目立つバンパーやフェンダーの樹脂製パーツが白くぼやけていては、洗車しても洗車のし甲斐がありません。

それにまだ乗りはじめたばかりの新しいクルマでも、目立つバンパーが白ボケを起こしていればそれだけで古臭く見えてしまいます。カーリースでSUVに乗りはじめて、まだまだリース期間が残っているのに、いつのまにか白ボケで古臭く見えてしまっているクルマに乗り続けなくてはいけないというはやっぱりいやですよね。

紫外線の影響で表面がむき出しの
樹脂パーツの劣化が進行してしまう

でもなぜ未塗装の樹脂製パーツは白ボケしてしまうのでしょうか? その一番の要因は紫外線といわれています。PPが紫外線を吸収し、徐々に表面が劣化して白く変色してしまうのです。

樹脂製バンパーに使われている素材はほとんどがPP(ポリプロピレン)ですが、PPは柔軟性があり強靭でコストも安いという特徴をもっています。そのためバンパー用やプロテクション用のモール素材として非常に適しています。

しかし、耐候性に関しては実はあまり高いとは言えません。ようするに太陽光の紫外線や温度の変化によって変形や変色、劣化といった変質を起こしやすい性質をもっているのです。

その上未塗装、つまり表面が塗料によって保護されていないとなれば樹脂がむき出しになっているわけですから、そこに直接紫外線が浴びることになります。

すると紫外線が吸収されPPを構成する分子同士の分子結合が切断、徐々に分解されていき、白や黄色に変色したり、硬化、変形や割れ、反りが生じてしまうのです。クルマのパーツ以外にも、塗装されていないプラスチック製品が紫外線を浴びて朽ちていく様というのは街中で見かけることもあるはずです。例えばベランダの洗濯ばさみが、いつのまにかボロボロになっているなんて経験はだれしもあるでしょう。

とにかく白ボケを発生させてしまう一番の原因は太陽光による紫外線ですが、それ以外にも雨水や酸化反応、温度変化などもあります。こういったものが劣化を進めてしまう要因とされています。

クルマはいうまでもなくこういったすべての条件下で使用されるものですから、未塗装の樹脂製パーツが時間経過とともに徐々に劣化して、白ボケしてしまうのはある意味しかたのないことなのです。

もちろんそういった性質はメーカーも熟知しているので、樹脂の中には黒い顔料や紫外線吸収剤や酸化防止剤なども添加されていますし、劣化が進まないようにしています。それでも紫外線は想像以上に強烈なものなので樹脂パーツの白ボケを完全に食い止めることはできないのです。

ボディカバーを常に使い
紫外線が当たらないようにする

では、できるだけ白ボケが起きないようにするにはどうすればいいのか? 一番確実なのは塗装してしまうことです。むき出しの樹脂を塗料によって覆ってしまい、直接紫外線を浴びないようにしてしまえばいいのです。

PP製のバンパーは柔軟性があり、昔はきれいに塗装するのが難しいと言われていましたが今はそんなことはありません。キチンと手間をかければきれいに塗装仕上げにすることも可能です。未塗装の樹脂製パーツにこだわりがなければそれも悪くはないでしょう。実際ネットなどを検索してみると、DIYで未塗装の樹脂製パーツをきれいに塗装している方もいます。

でも、そもそもタフさの演出物として未塗装の樹脂製パーツを使用しているのに、それに塗装を施してしまっては意味がないともいえますよね。だったらどうすればいいのか?

紫外線や酸性雨から守ってやるのが一番なのですから屋根付きのガレージで保管するか、常にボディカバーをかけて直接紫外線が当たらないようにすればいい。とはいえガレージに関しては自宅にスペースがあれば別ですが、簡単に用意できるものではありません。お住まいのマンションなどのタワーパーキングなどがあればそちらを使うという手はありますが、そう都合よくあるわけでもないでしょう。

となると現実的なのはボディカバーとなるでしょう。毎回乗り降りするたびにカバーをかけるのはかなり面倒ですが、ボディパネルの塗装の保護にもなりますし、またサビなどの防止にもなります。また野良猫など動物がボディに傷をつけるのを防ぐ効果も期待できます。クルマのコンディションを極力キープし続けたいのならカバーを使わない手はありません。

特にカーリースの場合はリース期間クルマのダメージはチョットしたことでも極力減らしておきたいもの。なんといっても返却時の査定に響きますから。そういった意味でもボディカバーの使用は是非おすすめです。裏面が起毛となっており、塗装を傷つけないしっかりとしたボディカバーを使ってみてはいかがでしょう。

白ボケしている樹脂パーツは
専用ケミカルで復活&保護しよう

そうはいっても背も高く、比較的ボディサイスの大きなSUVに毎回ボディカバーをかけるのは一仕事。ついつい忘れてしまうこともあるでしょう。それに、すでに白ボケが起きてしまっている場合は、いまからボディカバーをかけても白ボケがなくなるわけではありません。それ以上の進行は遅らせることはできますが、元に戻るわけではありません。

昔からある樹脂用の保護ツヤ出し剤などを使用しても一時的に黒さを取り戻すことはできますが、すぐにその効果は失われてしまうのですぐに元に戻ってしまいます。では、すでに白ボケを起こしている未塗装の樹脂パーツを補修する方法はないのかというともちろんあります。手間はかかりますが、ある程度元に戻すことが可能です。

その方法の一つが専用のケミカルを使用するというやり方です。例えばこちらのようなアイテムを使うのです。

参考サイト:https://www.soft99.co.jp/products/detail/09500/

「99工房モドシ隊 ゴム&未塗装樹脂光沢復活剤」と長い商品名ですが、名前の通り白ボケしてしまった未塗装の樹脂パーツに黒々とした艶に蘇らせることができる光沢復活剤です。さらに保護効果も期待できます。その使い方も以下のように簡単です。

  • ①パーツ表面の汚れを洗い落とす

    ワックスカスや油系の汚れを、カーシャンプーを使ってしっかり洗い流す。充分に水ですすいだら、水滴を拭き取り乾燥させる。

  • ②シリコンオフシートで油分を除去

    パッケージには洗車では落としきれない油分を除去するためのシリコンオフシートが付属しているので、そちらを使い油分や汚れを完全に落としきる。

  • ③スポンジで光沢復活剤を塗る

    使用するパーツの大きさに合わせて付属の専用スポンジを切り離す。光沢復活剤の液をスポンジ黒い方(硬質樹脂用)に適量をしみ込ませ、白ボケしている樹脂表面に薄く均一に塗り広げる。未塗装の樹脂パーツは液剤が染み込むので吸い込まなくなるまで液剤を塗る

  • ④乾いたウエスで拭き取る

    液剤を塗り終えたら5分ほど乾燥させる。乾いたことを確認したら用意しておいたウエスで表面のムラをならすようにして拭き上げる

  • ⑤施工後24時間で定着させる

    空拭きで施工は終了だが、その後24時間は手で触れたり、水に濡らさないようにして液剤をしっかり定着させる。これで作業完了。

    これらの作業は、洗車の最後に仕上げとして施工するのがおすすめです。削ったり磨いたりといった作業は必要ないので時間もさほどかかりません。これで白ボケした樹脂パーツに黒々としたツヤがもどるはずです。表面をケイ素系の被膜で覆ってくれるので樹脂用の保護ツヤ出し剤のように雨や洗剤で流れ落ちることもありません。そのため美しい仕上がりが長期間持続します。

    なお液剤はワンパッケージに15mlほど入っているのですが、バンパー自体が大型で、なおかつ全体が未塗装の樹脂パーツ(BMWの初代X3やX5などちょっと前のヨーロッパ製SUVに多い)になっている場合、ワンパッケージでは液剤が足りなくなる場合があります。その場合は必要に応じて買い足しましょう。

    まめなお手入れが
    白ボケを効果的に防いでくれる

    日差しを遮るものがない屋外駐車場に普段停めている場合、どうしても未塗装の樹脂パーツの白ボケは起こってしまいます。少しでも進行を遅らせるにはボディカバーを使うのが基本。そしてもし白ボケが起きてしまったら、定期的にご紹介したような専用のケミカル剤を使うといいでしょう。まめにお手入れをしておけば、急激に進行することはありません。きれいな状態をしっかり長くキープすることができるはずです。