愛車がEVでない限り、ドライバーが必ずお世話になる場所がサービステーション、いわゆるガソリンスタンド(軽油や灯油も売っていますが)です。燃料がなければクルマは走れませんし、その燃料を給油するには我々ドライバーに燃料を販売してくれるサービスステーションは欠かせない存在です。

最近はセルフのサービスステーションも増えていますが、便利なようでいて、ドライバー側の手間も多く意外に不便に感じている人もいるでしょう。特にお店によって違いがあるのが金の支払い方法です。給油機で直接現金やクレジットカードで払えるもの、店内で後払いするもの、専用のキーホルダー型決済ツールを使うパターンもありますし、最近は減っていますが専用のプリペイドカードを別途購入してから給油するというのもありました。初めて入ったセルフのサービスステーションだとどの決済方法かわからず、戸惑ってしまうこともあります。

そんな思いのほか選択肢の多いサービスステーションでの決済方法ですが、実はそこに新たに「スマホ給油」というものが加わりました。それが今一部で話題になっています。

でも、スマホで給油? おそらくアプリで支払いを行うのだろう、ということは想像がつきますが、いったい単なるスマホ決済とは何が違うのでしょう。また利用することにどんなメリットがあるのか。詳しく調べてみました。

アプリを利用することで事前に
油種の選択や給油量、決済までできる

まずスマホ給油とはどんなものなのか。これは多くの人が想像する通り、サービスステーション(以下SS)での油種などのオーダーや支払いを、事前にスマホのアプリで行なえるというものです。2020年3月に実証実験が行われ同12月にサービスが開始となったばかりの最新のサービスです。

普通SSで給油を行う場合は、SSにクルマで直接向かい、店頭で給油機などの注文機を操作して、油種や給油量を指定。そして給油を終えたら現金やクレジットカード、最近ならQR決済などで支払いを行います。

しかし、この「スマホで給油」の場合は、スマホアプリ(Putmenu)をあらかじめダウンロードしておき、SSに訪れる前にアプリ上で利用するSSの店舗を選択。そして油種や給油量なども同じくアプリ上でオーダーしておく。そしてSSに到着したら、給油機のQRコードをアプリで読み取るだけで給油ができ、さらに決済(アプリに登録したクレジットカードやQR決済で行います)まで完了するというものです。

なるほど油種の選択から決済が事前にできるのは確かに便利ですね。でも、一般的なセルフのSS場合、アプリを利用したからと言って何が便利なのか? 決済が楽になるくらい? そもそもセルフのSSでは支払いも給油作業も自分で行います。それでアプリ利用したといってもちょっとは便利になるだろうけれどもそれほどメリットがないような気もしますよね。

それに、似たような決済方法としては以前から、キーホルダー型決済ツールがあって、そちらによってすでに実現していたような気もします。

便利なのはスマホ給油を利用する
ドライバーではなくSS側?

便利な点としては、スマホ給油の場合スマホさえあれば専用のキーホルダー型決済ツールは不要ということでしょう。事前に入手する必要がなく、スマホさえ持っていればすぐに利用しはじめることができる。その点は確かに便利です。

また、アプリ上でリアルタイムのガソリン価格が確認できるという点もありがたい。ガソリン価格は店舗によって金額が結構違っていますし、その金額も近くにライバル店がある場合などは頻繁に変更されます。それが、手元のアプリでチェックできるのは非常に便利。

とはいえすべてのSSがスマホ給油に対応していない現状ではそのメリットはなかなか実感できません。やはり利用するユーザー側ではなく、SSの店舗側のメリットの方が大きいのではないかというのが本音ですね。

ようするに給油機にQRコードを貼っておけば、それまで店舗で使用していた既存のPOSシステムが利用できます。つまりICリーダーやQRリーダーなどキャッシュレス用端末が必要ないので、設備投資費がいらないのですね。

それに支払いのオペレーションが不要になれば、決済のための機械が不要となりますし、また会計の管理だって簡単になる。結果スタッフの省力化が図れます。その分のコストダウンも期待できるわけです。確かにSS側にはメリットの大きな仕組みだといえるでしょう。

でも、利用する側はどうなのか? 現金やカード不要で、事前に決済までの手続きをしておけるくらいしかメリットはないのか。それくらいだったら別に利用しなくてもいいかなって気もしますよね。

しかし、当然ですがメリットはそれだけではありません。ちゃんと利用する側に利用するだけの利点があるのです。それも今の時代にこそありがたい大きなメリットです。

ではそのスマホ給油ならではの今の時代にマッチした大きなメリットとは何なのか、次のパートから説明しましょう。

フルサービスのSSなら完全非接触で
給油が可能。新型コロナ対策にもなる

まず、スマホ給油ですが、セルフのSSだけでなくフルサービスのSSでも対応可能となっています。セルフの場合は前述したとおりに手順で利用することになりますが、フルサービスの場合は、基本は同じなのですが大きく違う点があります。それは、クルマから一切降りずに給油ができてしまうということ。

つまり、家を出る前にスマホでオーダーしておけば、SSについて店舗に掲示されているQRコードをスマホで読み取るだけでいい。あとはSSのスタッフがオーダーに応じた給油作業をおこなってくれるわけです。

ハイオクなのか、レギュラーなのか、はたまた軽油なのか伝える必要はありません。10Lだけ給油したいという場合もスマホでオーダーしておくだけで、ぴったりそのオーダー通りの量を給油してくれます。自分の手を煩わせる必要が一切ない、まさに「スマホ給油」です。

それに、レシートなどの発行もないため、給油が完了したらそのままクルマを移動すればいい。これは注文から支払いまですべてがスマホで完結するからできること。いかがでしょうこれ画期的ではないでしょうか。

さらにクルマから一切降りることなく、スタッフと会話することなく給油ができる、ということはようするに完全非接触で済むということ。つまり、新型コロナウイルス対策にもなるというわけなのです。

いわゆるセルフのSSも給油の作業は自分だけで完結しますがセルフで給油を行う場合、まず給油機のタッチパネルに触れなければいけませんし、給油ノズルをもって自分で給油作業をしますから給油機にも触れます。当然非接触というわけにはいきません。

しかし、フルサービスのSSでこのスマホ給油を利用すれば、完全な非接触による給油が可能となるのです。それどころか車内のウインドウ越しにQRコードを読み取ればクルマから一切降りる必要もないのです。完全に密閉された車内という空間にいながら給油ができる。これなら安心ではないでしょうか。

窓ふきやごみ捨て、洗車なども
事前にオーダーしておくことができる

さらにスマホ給油のアプリを使うことで、給油以外のサービスを事前にオーダーしておくことができます。例えば窓ふきやごみ捨て、空気圧のチェックなどといった通常は対面でスタッフに依頼しないといけないようなものです。ちょっとしたことですがこれは意外に便利なのではないでしょうか。

また、最近多い、セルフ洗車機にも対応しているので、水洗いだけ、シャンプー洗車、撥水コーティングなどといったコースメニューや、各種オプションなどを事前にスマホから選択しておくことも可能です。

最近のセルフ洗車機は選択できるコースも豊富でオプション設定なども思いのほか複雑。それが事前にアプリで設定しておけるというのは確かにありがたい。

さらに、洗車以外にもアプリに「スタッフに相談する」という項目が用意されていて、手洗い洗車にオイル交換、車検、車の買取り・販売などといったことの相談予約ができます。フルサービスのSSで、忙しく働いているスタッフに声をかけるというのは、結構タイミングが難しかったりします。

でも、アプリで選択しておけば、QRコードを読み取ればスタッフの方から声をかけてくれるわけです。人に声をかけるのが苦手、という人には確かにうれしい機能。それにSS側も先にどんな要望があるのか把握することができますから作業の用意や、説明の準備などを先に進めておくことができる。よりスピーディな対応ができるということでスマホ給油は利用者、お店側、お互いにメリットがあるものなのですね。

アプリはスマホ給油専用ではなく
飲食店などでも利用可能

ただし、スマホ給油のサービスは昨年末にスタートしたばかり。対応しているSSステーションも一部だけです。試しに筆者はアプリをインストールして自宅近辺でスマホ給油が利用できるSSはないか検索してみましたが、10㎞圏内で3店舗ほどしか見つかりませんでした。まだまだ始まったばかりのものですから仕方がありません。

とはいえ、新型コロナ対策に関してこれからも気を抜けませんからスマホ給油の注目度は増していくのは間違いないでしょう。また、その利便性の高さが理解されれば利用者も増えていくことは確実。利用者が増えれば対応するSSも確実に増加して利便性も高まるはず。そうなったら是非活用させてもらいましょう。

ちなみにスマホ給油に使用するアプリは「Putmenu(プットメニュー)」というものになります。

参考サイト:https://putmenu.com/

このアプリ、別にスマホ給油専用のアプリというわけではなくて、スマホを使って様々な商品の注文と支払いができるオーダーシステムのためのアプリ&サービスとなっています。

つまり、給油だけでなく(というか本来は飲食店のオーダー&決済がメイン)、レストランやカフェ、テイクアウトのお弁当などの注文と決済がアプリで事前にできるというものです。

このプットメニューで、商品を事前にオーダー&決済しておけば利用者は来店時にレジに並ぶことなく、自分のタイミングで商品受け取りが可能となるというもの。基本はスマホで給油での利用方法と同じですね。

そんなプットメニューのサービスの一つとして給油が可能になったというわけです。このプットメニューがなかなかすごくて例えば商品情報を12カ国語に自動翻訳してくれます。海外からの旅行者にとっても非常に便利なアプリとなっています。

新型コロナ禍ではなく、東京オリンピックが通常どおり開催されていたらきっと多くの海外からの旅行者が便利に利用できたのだろうと思いますがそれがちょっと残念ですね。

サービスははじまったばかり
スマホ給油対応SSの拡大に期待

いかがでしょうか。このあたらしい給油の仕方「スマホ給油」。単なるスマホにより決済サービスと思いきやその中身を知ってみると想像していたよりも便利なものだとは思いませんか。

ただ、まだはじまったばかりのものなので対応SSも少なく、地域によってはまだまだ利用しづらいかもしれません。

しかし、利用環境が整えば、周囲のガソリンスタンドの価格が簡単に比較できるようになりますし、どのSSがどんなサービスを提供しているのかなども比較検討できるようになります。

そうなれば間違いなくより便利でお得なものとなるはず。とりあえず興味がある方はこのアプリ、プットメニューをいれてみてはいいかがでしょう。最新のサービスをいち早く利用する、それだけでもちょっとした優越感が味わえるかもしれません。