本格的な台風の季節がやってくる前に、絶対にやっておくべきことがワイパーとウォッシャー液のチェックです。ワイパーがまともに使えなかったり、クルマのウインドーが汚れや油膜だらけでは視界が確保できず安全な運転は行えません。これは、メンテナンスにおける基本の基本と言えるでしょう。

とはいえワイパーに関しては、さすがに不具合があればすぐに気が付くのでさほど問題ないかもしれません。気を付けておきたいのはウインドーウォッシャー液です。いざ使おうとなった時にウォッシャータンクが空っぽだった、などということは珍しくありません。でもそんなときに限って大雨などということもあります。

安全運転にはかかせないウインドーウォッシャー液について、その正しい選び方や使用法、さらに補充方法に関してご紹介します。

汚れを洗浄して、視界を
確保してくれるウォッシャー液

わざわざ説明するまでもありませんが、ウインドーウォッシャー液とはクルマのウインドーを洗浄する専用の洗剤です。ドライバーの操作でウォッシャーノズルから噴射され、ワイパーによって汚れと共に拭き取ります。

特に使用頻度が高くなるのはやはり梅雨や台風シーズンなど雨の季節です。頻繁に洗車を行わない方の中には、クルマに乗るとまずウォッシャー液を噴射してワイパーでフロントウインドーを拭き取ってから走り始めるということもあるかもしれません。

でも、そのように頻繁に使用しているとあっという間にウォッシャータンクが空になってしまいます。最近のクルマはウォッシャータンクの残量が残り少なくなると、教えてくれるインジケーターが装備されているものもありますが、そんな便利な装備、自分のクルマには装備されていない! という方の方がほとんどでしょう。

そして、いざ使おうとしたらノズルから音はするのにウォッシャー液が噴射されない、という事態に遭遇するわけです。では空になってしまったらどうすればいいのか。簡単ですウォッシャータンクに新しいウォッシャー液を補充してやればいいだけです。

もしウォッシャー液を補充しても作動しないという場合はノズルのつまりかもしれません。洗剤分や汚れによってノズルの穴が詰まっていたら安全ピンやマチ針のような細いものでノズルの先端の穴の中の汚れを取り除きます。それで大抵の詰まりは解消されるはずです。

それでもウォッシャーが出ない場合はホースや配管の破損の可能性があります。どこを見ればわからないという場合は素直にディーラーや修理工場に修理をお願いしましょう。くれぐれも気を付けたいのが、ウォッシャーノズルの故障は走りには関係ないからといって放置することです。それではいざというときに視界が確保できず危険であるうえにそのままでは車検にも通りません。

意外に知らない方もいますが車検の項目には、「ワイパー」の点検が含まれていて同時にウインドーウォッシャーも点検されるのです。そのためウォッシャーノズルが壊れていれば車検は不合格となります。ですから故障を見つけたら速やかに修理を行うべきなのです。

ウォッシャー液のタンクには
わかりやすいアイコンが描かれている

もちろんウォッシャータンクが空になっているだけなら補充するだけでOKです。ただ、なかにはウォッシャー液のタンクがどこにあるのかもわからない、という方もいるかもしれません。

では、どこにあるのか。ほとんどのクルマはボンネットの中に配置されています。ボンネットを開け、白い半透明のタンクを探しましょう。ブレーキフルードのタンクなどと見間違いやすいですが、白い樹脂製の容器のキャップに、このようなウォッシャー液のアイコンが描かれているものを探せばよいでしょう。

このキャップを外して用意しておいたウォッシャー液を注入してやればOKです。

あふれさせてしまうとエンジンルームを汚してしまいますので入れすぎには注意してください。タンクは半透明なので横から見ると残量が確認できます。どれくらい入ったのか確認しながら注入すればいいだけですから簡単ですね。

ウォッシャー液のかわりに
食器用洗剤を使うのはNG

ではそのウォッシャー液はどこで手に入るのか。自動車ディーラーやガソリンスタンド、カー用品店などに行けば購入は可能です。また、ホームセンターやネット通販などでも手に入ります。

このウォッシャー液ですが、別に特別なものではありません。主成分はエタノールと界面活性剤で、界面活性剤が汚れの表面に吸着して浮き上がらせてくれるので、水では落ちない泥や油膜汚れを洗浄してくれるというもの。

この界面活性剤ですが、キッチンで使用する食器用洗剤にも使われています。だったら、それをかわりに入れても構わないのか、というとそれはやめておきましょう。

なぜなら食器用洗剤は使ったことがあればおわかりでしょうが泡切れがよくないからです。そのため一旦ウインドーに吹き付けてしまうと、ワイパーを作動させてもその泡がなかなか消えず、跡が残ってしまい、かえって視界が遮ってしまうことになる場合もあるのです。また、製品によってはかえって油膜をつくってしまうものもあるので安易に使ってはいけません。

クルマ用のウォッシャー液なら、泡切れもよく油膜の除去性能にも優れています。さらに凍結防止の成分なども入っていてクルマの使用に適したものとなっています。ですからいくら緊急だといっても安易に食器用洗剤を使うことは避けるようにしてください。どうしてもウォッシャー液が手に入らない場合は水道水を一時的に使うほうがまだよいでしょう。

ではウォッシャー液の代わりに
水道水を使うのはOK? NG?

ただ水道水も、緊急時以外は極力使わないほうが賢明です。水道水をウォッシャータンクに入れてもすぐにトラブルが起きることはありませんが長期間ウォッシャータンクが水だけの状態にしておくと、やがて腐ってカビや藻が生えてしまうからです。

そして、そのカビや藻のそのせいでパイプやノズルが詰まってしまうということもあり得るからです。

では自販機などで簡単に手に入るミネラルウォーターをつかうのはどうなのか。これはもっとおすすめできません。水道水には殺菌成分であるカルキや塩素が含まれているので、カビや藻の繁殖は多少抑えることができます。しかし、ミネラルウォーターにはそういったものは入っていません。そのためウォッシャータンクにミネラルウォーターを入れてしまうと、水道水以上に雑菌やカビ、藻などが繁殖しやすい環境となってしまうのです。

さらに、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分が多く含まれていると、それがウインドーやボディに付着して、跡として残ってしまいます。

旅先などでどうしてもウォッシャー液が手に入らないという場合はせめて水道水を使用し、ウォッシャー液が手に入ったら早急に交換しましょう。もしくは、ある程度水を噴射してタンク内のスペースを開けてから、希釈タイプのウォッシャー液を注入するのがいいでしょう。

その場合、適当に薄めるのではなく、ウォッシャータンクを横から見て、水道水とウォッシャー液が適正な混合比になるように慎重に継ぎ足して希釈するようにしてください。

色々な種類がある
ウォッシャー液の選び方とは

ではどんなウォッシャー液を入れればいいのか。ウォッシャー液には様々な種類があります。シンプルな洗浄効果だけ持つもの、強力な油膜除去効果を持つもの、さらに撥水コーティング機能を持つものなどもありますし、寒冷地の使用に適した凍結しにくいものなどもあります。

基本的にこれらクルマ用のウォッシャー液として売られているものならどれも使用しても構いません。洗浄効果は得られますし、カビなども発生しません。

ただ、気をつけなくてはいけないのが、以前使用していたウォッシャー液と新しいウォッシャー液で性質が真逆のものを混ぜるのはNGということです。

その場合古いウォッシャー液を完全に使い切ってから新しい物をタンクに注入してください。なぜなら例えば性質の異なるコーティングタイプと油膜取りタイプを混ぜれば、互いにそう効果を打ち消しあってしまうからです。

また、それだけでなく、本来の洗浄効果も落ちてしまう可能性があります。さらに、それぞれのウォッシャー液に含まれている成分が化学変化を起こして、ウォッシャーノズルを詰まらせてしまう可能性もないとは言えません。

間違いないのは以前使っていたウォッシャー液と同じもの(もしくは同じブランドの同様の効果を持ったもの)を使うということ。これなら間違いないでしょう。

そして、もしウインドーに撥水コーティング剤を使用しているなら、ウォッシャー液も同じブランドの撥水コートタイプを使用するのがおすすめです。せっかくウインドーコーティングをしているのに、強力な油膜取り効果を持つウインドーコーティング剤を使ってしまえばそのコーティングをはがしてしまうからです。

コーティング対応のものなら、効果が長持ちするだけでなく、ワイパーの嫌なビビり音などを効果的に抑えることもできます。例えばソフト99のガラコなどは、ウインドーコーティング剤にウォッシャー液、ワイパーブレードまで同じブランドで用意されているので、これらをセットで使用するというのもいいでしょう。より快適な視界が得られるはずです。

ウォッシャー液が凍った!
どうすればいい

ウォッシャー液には原液をそのまま使用するもの、水道水などで希釈するもの。また使用時期に合わせて希釈濃度を調整するものなどがあります。自分が購入したのがどのタイプなのかちゃんと把握してから正しく使用してください。

注意しなくてはいけないのが、冬場に気温が低くなる寒冷地にお住いの場合や、ウインタースポーツなどを趣味としている方です。希釈タイプのウォッシャー液を通常の濃度で使用すると極端な低温化では凍結してしまうことがあるからです。

凍結させないためにはあらかじめ濃度を高めておくことが必要となります。ウインドーウォッシャー液の主成分はエタノールでその濃度はパッケージなどに書かれています。エタノールが10%ほどのウインドーウォッシャー液の場合、通常は原液1に対して水道水1ぐらいの割合で希釈します。

しかし、この濃度だとマイナス2度ぐらいになると凍結してしまう。しかし原液を100%で使用すれば凍結を防ぐことができます。ただし、マイナス2度よりも気温が低くなる地域ではこれでも凍結の可能性があるでしょう。

そのような気温の低い環境では、寒冷地の使用に対応したウインドーウォッシャー液を使用するのがベストです。そういったものならメタノール濃度が高く(40~45%ほど)極端な低温でも凍結を防ぐことができます。

気温の低い地域のカー用品店などで購入できるので、帰省などで寒い地域に出かける場合はあらかじめウインドーウォッシャー液を空にしておき、出先で注入するようにすると安心です。

しかし、準備を怠っていて、ウォッシャー液が凍ってしまったという場合はどうすればいいのか。エンジンをかけアイドリング状態でしばらく待ちエンジンの熱でウォッシャー液が溶けるのを待つしかありません。とりあえず視界が確保できているならしばらく走行し同じく溶けるのを待ちます。

ちなみに、トヨタのカローラや日産のノートにはディーラーオプションとしてウォッシャー液を温めることができるヒーテッドウォッシャー(日産ではウォッシャーヒーター)が用意されています。

これは前の日の走行時に温めたウォッシャー液を魔法瓶構造のヒーテッドウォッシャーで保温しておきその温水をウォッシャー液として噴射するというもの。

これがあればウォッシャー液が凍る心配もありませんし、また、フロントウインドーの霜などを溶かすことも可能です。とても便利なものですが残念ながら現在はごく一部の車種にしか設定されていません。社外品なども今のところないようなので、どこかのメーカーが発売してくれることを期待しましょう。

ウォッシャー液の残量確認と補充は簡単。
是非一度やってみよう

ウォッシャータンクが空になってもクルマが走れなくなるわけではありません。しかし、ドライブ中の視界を確保するためにはなくてはならないもの。

例えば、走行中に前走車の泥はねなどでフロントウインドーが覆われてしまった場合、ウォッシャー液がなければ非常に危険です。最悪それが原因で事故に繋がることもあるでしょう。

そのため、常にタンクの残量をチェックして、減っていたら補充する習慣をつけておきましょう。

クルマのメンテナンスの中でもウォッシャー液の補充は最も簡単な部類。普段クルマの整備や点検は全てディーラーやカーリース会社に任せているという方でも、ボンネットを開けられさえすれば簡単にできるはずです。

もしウォッシャー液の残量チェックや補充を今までやったことがないという方がいたら、台風の本格的なシーズンに入る前にチャレンジしてみてください。思いのほか簡単ですのでメンテナンスの第一歩としてもおススメします。