クルマのカスタマイズ基本であるホイール交換。市場にある豊富な種類のホイールから好みのものを選び、自分なりの一台にクルマをカスタマイズするのはとても楽しいものです。でも、そのクルマがカーリース車両であった場合、そんな楽しみ方できるのでしょうか。カーリース車は原則として改造禁止です。であればやはりホイール交換もだめなのでしょうか。でも、ホイール交換は改造というかパーツ交換。クルマに加工を施すわけでもないですし、原状回復も純正ホイールに戻すだけなので問題なく行えます。だったらホイール交換はOKなのか?それともやっぱりだめなのか?気になるので調べてみました。

機能的でコスパの良い純正ホイールを
わざわざ交換するのはなぜなのか

クルマを単なる移動のための手段と割り切っている人には理解されないかもしれませんが、マイカーにコツコツ手を入れて、自分なりの一台にカスタマイズするというのはクルマ好きにとっては大きな楽しみの一つです。もちろん完全ノーマルを維持し続けるというのも意義あることですが、ノーマルとはちょっと違う自分だけの一台が欲しいと考えるのは自己満足の世界ですが決しておかしなことではありません。

いうまでもなく違法改造は言語道断ですが、誰に迷惑をかけるのでもなく、合法なパーツ使ってカスタマイズするのであれば趣味の範疇ですし何も問題はないはずです。

それにカスタマイズといっても大幅な改造だけを指すのではありません。例えばホイール交換など、装着されている純正ホイールを、好みのデザインのホイールに変えるというのも立派なカスタマイズです。なんといってもホイール交換はカスタマイズ、ドレスアップの基本であり、まずは手を付けるとしたこれでしょう。

ホイールはデザインやカラー、材質などの種類も豊富でそこから何を選ぶかでオーナーのセンスも試されます。最新のホイールを選ぶか、定番のものにするか。またほかにはない個性的なデザインも魅力ですし、レーシングカーが装着しているレプリカを選ぶというのも選択としてはありでしょう。

何を装着するべきか、ホイールメーカーのWEBサイトなどを見ながら選んでいる時間もとても楽しいものですね。逆にこのホイールが装着したいからこれに似合うクルマを選んだ!なんて極端な人も中にはいるといいます。それくらいホイールというのは重要なアイテムなのです。しかし、ホイール交換に関してこう考える人もいるでしょう。

「ホイールなんて、はじめから装着されているので十分。性能だって大して変わらないのにわざわざお金をかけて交換するなんて理解できない!」確かにそう考えるのも理解できます。でも、ホイールを交換するということには決して意味がないわけではありません。それは単にドレスアップをするという目的だけのものでもないのです。ではホイール交換にはどのような意味があるのか?

スチールホイールより軽く
デザイン性も高いアルミホイール

クルマの純正ホイールはとても品質が高く、厳しい性能試験もクリアしておりなおかつコストパフォーマンスにも優れています。つまり実用性だけでいえばわざわざ交換する必要はありません。しかし、クルマは実用目的だけで使用している人ばかりではありません。クルマそのものを、そしてそのクルマを自分なりにドレスアップすることを趣味としている人も少なくないのです。そのため手軽でクルマのどれアップに非常に効果的なホイール交換の人気があるのですね。もちろんホイール交換はそのようなドレスアップ目的だけのものでもありません。

純正ホイールは主にスチール製のものとアルミ合金製のものがあり、デザインは万人に受け入れられやすいよう比較的落ち着いたもの(最近のカスタム系グレードの中にはそうでないものもありますが)が選ばれています。

特に地味なのはスチールホイールです。通称鉄チンホイールなどとも呼ばれておりその特徴はとにかくコストパフォーマンスに優れていること。つまりは安いのですね。それでいて頑丈なスチール製なので剛性も高く、耐久性にも優れています。そのためスタンダードグレードのクルマや、商用車などに主に装着されています。

また見た目はシンプルで味気ないのですが、乗用車用のものはスチールホイールの上から樹脂でできたホイールカバーが装着されそれなりに見た目も配慮されていますが、高級感はありません。でもコスパをとにかく重視するのなら、スチールホイールという選択も決して悪いわけではありません。ただし、趣味性は正直あまりありません。ようはデザインが地味で味気なく、非常に安っぽいのです。クルマに多少なりとも興味がある人から見れば、ホイールがスチールホイールであるだけで、そのクルマが低グレードクルマなのだな、ということが一発で分かってしまいます。それってあまりうれしくないですよね。

ではアルミホイールはというと、特に社外品のものはデザイン性に優れており見た目に高級感があります。それにスチールホイールにない機能的なメリットもあります。それはまずは軽いこと。アルミと鉄の比重を比べるとアルミニウムが2.7なのに対して鉄は7.8です。つまり同じ体積ならば鉄はアルミに対して2.5倍重いということ。圧倒的にアルミが軽いのです。ホイールの場合はスチールとアルミ合金なのでまったくこの通りの比重ではありませんが、圧倒的にアルミ合金の方が軽いことには変わりません。軽量化はハンドリングの向上、燃費性能のアップに有効なので、それだけでも大きなメリットになります。

またデザインの自由度もアルミホイールのほうが間違いなく上です。アルミ合金はスチールよりも柔らかく、加工しやすいので色々な形のホイールが作れるのです。さらに、アルミ合金は熱伝導率にも優れている特徴もあります。スチール以上の放熱性能がありブレーキングにより高熱になったブレーキディスクの熱を効率よく逃がすことが可能なのです。つまりハードブレーキングをしても熱によるフェード(ブレーキを連続使用した結果、ブレーキの効きが低下すること)が起きにくくなるわけですね。このように比較するとデザイン性もパフォーマンスもアルミホイールはスチールホイールよりも確実に優れているわけです。

とはいえほとんどの人はそのような機能面の向上を目的に選ぶというよりは、その高級感やデザインの多様さに惹かれてアルミホイールを選んでいると思われます。簡単にいってしまえばアルミホイールのほうが格好いいのですね。特に純正よりも社外品のアルミホイールのほうが。だからこそ交換したいと考える人がたくさんいるのですね。

アルミホイールの
「鍛造」と「鋳造」は何が違うのか?

そんなアルミホイールですが、その製造方法には主に2つあります。それが「鍛造」と「鋳造」です。鍛造は、アルミニウムを高圧のプレスや加熱によって圧縮し成型する方法です。製造に特別な設備や手間などがかかるために価格が高くなるのですが、軽量でしかも強度のあるホイールを作ることが可能です。そのため性能を追求するレース用のホイールはたいてい鍛造です。

対して鋳造は、溶けたアルミニウムを鋳型と呼ばれる型に流し込んで成型する方法です。ようは鋳物ですね。そのため、比較的安価に大量生産が可能で、後加工もそれほど必要なくデザイン性の高いホイールも作りやすい製法です。

しかし、強度の面で鋳造は鍛造には劣るとされており、そのため厚みを持たせるなどして強度が確保するので製品によっては重さがスチールホイールと変わらないものもあります。軽量化によるパフォーマンスアップを目指すにはあまり向いていないといえるかもしれません。

ただし鋳造でも鍛造並みに軽く、機能的なアルミホイールもあるので絶対とはいいきれませんが、基本的には鋳造タイプのアルミホイールはドレスアップを主な目的としたものに使われていると考えていいでしょう。その分、複雑で個性的なデザインのものがそろっているのでデザイン性を重視する人にとっては魅力的なホイールが見つけられるかもしれません。

アルミホイールと
アロイホイールは何が違うのか?

ちなみにアルミ合金でできたホイールのことを「アルミホイール」といったり「アロイホイール」といったりしますが、この違いはなんなのかわかりますか。アルミホイールは、アルミニウムを基本的な素材として作られているアルミ合金でできたホイールを指します。アルミホイールとはいっても100%のアルミニウム製ではありません。アルミは柔らかい素材なので、合金にしないと十分な強度が確保できないからです。メーカー純正のアルミホイールはほとんどがこのアルミ合金ホイールです。

ではアロイホイールは?アロイ(ALLOY)とは合金という意味です。つまりいわゆるアルミホイールもアルミ合金製なので実はアロイホイールの一種。ただホイールに使われている合金にはアルミ合金以外にもマグネシウム合金などもあるので、アロイホイールはすべてがアルミホイールではありません。

つまりアロイホイールといった場合はアルミ合金以外の合金が使われている可能性があるということです。ただカタログなどにアロイホイールと表記されていても、ほとんどの場合アルミ合金製です。おそらく、特別な素材であるようなイメージを狙ってあえてアルミではなくアロイと表記しているのではないでしょうか。

ちなみにスチールホイールに使われているスチールも厳密には合金なのですが、スチールホイールのことはアロイホイールとは呼びません。アロイホイールとはスチール以外の合金製ホイールを指すもののようです。
ほかにも高級スポーツカーでは、アルミ合金よりも軽く性能のすぐれたカーボンを素材としたホイールもあります。ただ一般的ではありません。その値段も飛びぬけており(ポルシェ純正のカーボンホイールは200万円!)例外的なものと思っていいでしょう。

結局カーリース車両のホイールを
交換してもいいのか?

長々のアルミホイールの良さを紹介しましたが、肝心なのはその魅力的なアルミホイールをカーリース車に装着してもいいのかどうかという問題です。カーリース車両の改造は原則として禁止です。リース期間満了後は原状回復してクルマを返却しなくてはいけないので当然です。

しかし、クルマに加工を施さず、違法性もなく安全性などにも問題のないアルミホイール装着するのであれば改造というレベルではありません。純正のドレスアップパーツを装着するのとほぼ変わりません。それに純正のホイールセットを保管しておけば、それと交換することで原状回復もすぐに行えます。ということはアルミホイールの装着は問題ないと考えていいでしょう。

調べてみましたが、多くのカーリース会社ではアルミホイールの装着はおおむねOKと判断しているようです。もちろん中にはNGとしているカーリース会社があるかもしれませんので確認の必要はありますが、まず問題ないでしょう。そもそもスタッドレスタイヤに交換する際はホイール事交換しますよね。それが大丈夫なら夏タイヤのホイールを別のものに交換しても何も問題ないはずです。

特にメーカーオプションやディーラーオプションで設定されているアルミホイールであれば、純正パーツを交換するという扱いにあるので、全く問題なしと考えていいでしょう。原状回復が可能なのであれば後付けのポータブルカーナビやドライブレコーダーなどカー用品を取り付けるのと同じという扱いでいいようです。

ただ例えば、フェンダーの隙間を小さくしたいからと、車高調を取り付けて車高を下げたり、インチアップするためにフェンダーのツメを折って大きなホイールを取り付ける、なんてことは絶対にやってはいけません。クルマを傷つける行為で返却時の査定でマイナス評価となり、ペナルティとして違約金が発生するでしょう。気を付けてください。

自由にカスタマイズしたいなら
カーリースでなく購入を

いずれにしてもリース契約時の状態から、何かしら手を加えるのであれば、その前に必ずリース会社に相談するのが前提です。問題ないだろう!と勝手にカスタマイズを行い、後々契約違反で違約金が発生となっては最悪です。

もしクルマにもっと自由なカスタマイズをして楽しみたいというのであれば、カーリースではなく、はじめからローンを組みクルマを購入するのがよいでしょう。

自分のクルマであればどんなカスタマイズをしても(もちろん安全性が担保された法律の範囲内ですが)誰にも文句は言われません。カーリース車の所有者はあくまでカーリース会社です。つまりは一時的に借りている物だということ。当然のことながらカスタマイズするにしても制限はあります。そのことをキチンと理解し、カーリース車両では契約や法律に沿った範囲で、原状回復可能なライトなカスタマイズを楽しむようにしてください。ホイール交換ならそんなライトカスタマイズとしてピッタリかもしれません。