クルマのトラブルで、ガス欠とともに起こりがちなものの筆頭といえばバッテリー上がりです。特に気温低下でバッテリーの性能が低下する冬場は、エアコンやヘッドライト、ワイパーにデフロスターなど、電力を使用する機器の使用頻度が上がるため、バッテリーへの負担が増大します。昨日まで大丈夫だったのに、旅先でいきなりエンジンスターターが回らなくなってしまった、などいうことも珍しくありません。いうまでもありませんが、それはカーリース車両でも同じこと。ではもしバッテリーが上がってしまった場合どうすればいいのでしょう。交換費用はリース料金に含まれているのでしょうか?

リース車両のバッテリーは
勝手に交換していいの?

クルマのバッテリーの寿命はおおよそ2年~3年といわれています。もちろん使用環境によってはそれ以上の期間問題なく使用できているという場合もありますが、万が一のリスク(ドライブ先でバッテリー上がりなどが起きるなど)を考えれば、だいたい3年を目安に交換するのが間違いありません。

ただし、これは一般的な使用環境でのバッテリー寿命の話です。もし、過去にバッテリー上りを繰り返している場合は、3年をまたずにバッテリーが寿命を迎えてしまうこともあります。

また、ネット通販などで販売されている輸入品の低品質なバッテリーも明らかに寿命の短いものもあります。そういったケースでは交換したばかりであっても、いきなりバッテリーが上がってしまうということもありうるのです。ではバッテリーが弱ってくると、具体的にどのようなことになるのでしょうか。一般的には次のようなことが起こります。

①セルモーターの回転音が鈍くなる。
②パワーウィンドウの動きが遅くなる。
③ヘッドライトが暗い。
④バッテリーの端子に白い粉がふいている。

このようなことが起きているなら、バッテリーは弱っている可能性が高いです。補充電や、交換を行わずにそのまま使用し続けていると、突然バッテリー上がりとなり、エンジンの始動ができなくなってしまうこともあります。

対処としては一時的にバッテリーチャージャーなどによって補充電をするという方法がありますが、そのバッテリーが明らかに劣化していたり、すでに使用開始から3年以上経過しているならば、補充電はあまり効果的ではありません。交換するのが賢い選択でしょう。

バッテリー交換はとても簡単です。ディーラーやカー用品店でバッテリーを購入し、交換してもらえばいいだけです。DIYに多少心得があれば、通販で購入して自分で交換してもかまいません。バッテリーそのものがとても重い(だいたい10kgくらいあります)ので、持ち上げるのは大変ですが、作業自体は難しくありません。

でも、確かに交換は簡単ですがそもそもリース車の場合勝手に交換してもいいものなのでしょうか?リース車はあくまでリース会社のもの。リース契約を結んだユーザーサイドで交換を行っていいものなのかどうか、あらためて考えると迷ってしまいますよね。

リース会社によってはユーザーによる
バッテリー交換がNGの場合も

カーリースの契約はだいたい5年や7年といったものが一般的ですが、バッテリーの寿命が2~3年だとするとリース期間中にバッテリーを交換しなくてはいけないタイミングが必ず訪れます。その際どうするべきなのか。すべてのケースに当てはまるわけではありませんが、リース車両であっても、基本的にはバッテリーは消耗品なのでユーザーサイドで交換することは構わないはずです。

エンジンオイルやタイヤなどと一緒ですね。もちろんそのための費用は別途負担(例外もあり。後述。)することになりますが、バッテリーが消耗して交換が必要だなと感じられるようになったら、自動車ディーラーやカー用品店、DIYなどで交換を行うことができます。そのクルマに合った、品質に問題ないバッテリーを使用する限りはリース契約終了後でも特に問題とならないはずです。

ただし、注意しなくてはいけないのはカーリース会社やリース契約の内容によっては交換するバッテリーも、バッテリーの交換作業も実施するディーラーや自動車整備工場なども指定されている場合があるということです。そういったケースではユーザーサイドでの交換はNGで、必ず指定された場所での交換が必要となります。

とはいえよほどあやしいバッテリー(ネット通販などで購入した海外の怪しいメーカー製のものなど)でない限り、問題となる可能性はほぼないでしょう。すでにリース車両を使用していて、気になるという方は、リース会社に問い合わせてみてください。そして、その場合はリースの契約内容に沿った方法でバッテリー交換を実施するといいでしょう。

メンテンナスパックに加入すれば
バッテリー交換費用がかからない

また、リース契約の内容によってはバッテリー交換費用も毎月のリース料金に含まれている場合もあります。それはメンテナンス付きカーリース契約を結んでいるケースや、オプションなどで用意されているメンテナンスパックに加入している場合です。

通常のカーリースでも、毎月のリース料金に車検にかかわる整備費用などは含まれていますが、このメンテナンスリースやメンテナンスパックに加入していればそれ以外の日常的なメンテナンス費用も無料(毎月のリース料金に含まれている)で受けることができます。

そしてメンテナンスに必要な消耗品のエンジンオイルやタイヤ、ブレーキパッドやワイパーゴム、そしてバッテリーなどの費用までがすべてリース料金で賄えるのです。このメンテナンスパックに加入されていたらバッテリーが寿命を迎えた場合にも、リース会社に交換をお願いすれば無料で交換してもらえます。簡単ですね。

また、メンテナンスリースや、メンテンナスパックに加入していると、無料ロードサービスも一緒についてくるということも少なくありません。もしドライブ先でバッテリー上がりが起きてしまったときには、リース会社のロードサービスにお願いして救出してもらい、そののちにリース会社で新品バッテリーに交換してもらうといいわけです。

カーリースは契約内容によって、こういった日常のクルマのメンテナンスまですべて任せることもできるというのが大きなメリットの一つなのです。もちろん日常のメンテナンスは自分で行うという方は、車検費用などを除くメンテナンス費用の負担がないファイナンスリースを利用すると、月々の負担を軽くすることもできます。

バッテリーを消耗させるような
運転は極力控えよう

ただし、いくらメンテナンスパックに加入しているからといってバッテリーの管理を怠っていいというわけではありません。通常カーリースのメンテナンスパックでは、例えば5年リース契約ならその期間中バッテリー交換が1回無料となっているケースがほとんどです。もし5年のリース契約なら車検などのタイミングで交換を行うと、残りは2年。バッテリーの寿命が2~3年と考えればそれでなんの問題もないので当然ですね。

しかし、クルマの使い方によっては、バッテリー交換のサイクルがそれでは間に合わないケースもあります。必要以上にバッテリーにダメージを与えるような使い方をしていると、本来の寿命よりも短い期間でバッテリーの劣化が進んでしまいます。それはどのような場合か。

例えば、雪道の渋滞に長時間巻き込まれ走行による充電ができない中エアコンを使っていたためバッテリーが上がってしまうということもあるでしょう。そのような状態でのバッテリー上がりは命取り。恐ろしいですね。

また、単なる電力の使い過ぎも危険です。ハイパワーのオーディオを取り付け、カーナビやドライブレコーダー、スマホの充電器に加えエアコンやワイパー、ヘッドライトなどを同時に使用すれば、オルタネーター(クルマの発電機)によるバッテリーの充電が間に合わなくなり、バッテリー上がりを起こしてしまうことがあります。

さらに、不注意で駐車中ヘッドライトやスモールランプつけっぱなしにしてしまったことでバッテリーが上がってしまうなどということもあるでしょう。そして、普段クルマは近所の買い物にしか使用していないという方も注意が必要です。短距離の走行ではバッテリーに十分な充電ができず、放電が進みバッテリーが極端に消耗してしまいます。些細なことですがこういったことを繰り返せばバッテリーが極端に劣化し、3年をまたずにバッテリーがダメになってしまうケースもあるのです。

ハイブリッドカーでも
バッテリー上がりは起きる!

また、ご存じない方もいるかもしれませんが、ハイブリッドカーでもいわゆるバッテリー上がりは起こります。ハイブリッドシステム自体が起動できなくなり、走行(始動)することができなくなってしまうのです。

この場合のバッテリーとは、走行用のリチウムイオンバッテリーやニッケル水素バッテリーではなく、ハイブリッドシステムを起動するための補機バッテリーのことです。実はハイブリッドカーは、走行用のバッテリーのほかに、ガソリンエンジン車と同様に12Vの鉛蓄電池が使用されています。ヘッドライトやカーナビなどの電送品はこちらの補器バッテリーが使用されているので、ガソリンエンジン車と同様に電装品類の使い過ぎなどでバッテリーが消耗すると上がってしまう場合があるのです。

バッテリーが上がってしまった場合は、ハイブリッドーも他車(ガソリンエンジン車など)からバッテリージャンプを行うことが可能です。ジャンプを受けシステムを起動すれば、走行が可能となります。ただし、ハイブリッドカーはバッテリージャンプを受けることはできますが、他車に対してバッテリージャンプを行い、電力を分けることはできないので注意してください。

また、自分で補器バッテリーを交換する場合、ハイブリッドカー用の補器バッテリーは一般的な自動車用バッテリーよりも高価です。その点にも注意が必要ですね。

いずれにしてもどのようなクルマでもバッテリー上がりのリスクが常にあることは変わりません。ただしカーリースであれば、そのようなリスクをカバーする選択肢もあるのです。もし、これからカーリースを利用しようと検討中なら、こういったメンテナンスリースや、オプションのメンテナンスパックについてもしっかりとチェックし、心配であれば追加を検討するのが賢明です。