働くクルマとしておなじみの軽の貨物車、軽ワンボックスバンは、コンパクトな車体ながら、ボディギリギリまで使った広々とした室内空間が特徴です。商店の配達車両や宅配便など仕事用だけでなく、アウトドアレジャーの足や最近は軽キャンパーのベースとしても人気を集めています。

そんな、軽ワンボックスバンは現在ダイハツのハイゼットカーゴとスズキのエブリィバンが2大巨頭(というか実質この2車しかない)ですが、その一方の雄であるダイハツハイゼットカーゴが、先日17年ぶりにフルモデルチェンジを実施しました。では、いったい何がどう変わったのか。最大のライバルであるエブリィバンとの違いは何なのか、詳しく検証してみました。

17年振りのフルモデルチェンジで
一体なのが変わったのか?

ハイゼットカーゴ
(引用:ダイハツ公式HP)

ダイハツ「ハイゼットカーゴ」といえば、毎日街のどこかで必ず目にする、もはや日常の風景の一部といっていい軽ワンボックスバンの代表です。

宅配便に郵便局の配達車、花屋さん酒屋さんなどの商店などのデリバリーバンとしても数多く使われていますし、広い空間を生かしてキッチンカーなどにも利用されています。それに、最近ブームとなっている軽キャンパーのベース車両としてもハイゼットカーゴは人気の高いクルマです。

そんなダイハツハイゼットカーゴが、つい先日の2021年12月20日に、ハイゼットトラックや兄弟車のアトレーと共にフルモデルチェンジを実施しました。なんと17年ぶりのフルモデルチェンジです。

軽ワンボックスバン生活に根ざしたクルマだけにモデルライフが長いのは珍しくないのですが17年というのはかなりのものです。でも、それだけロングセラーだったハイゼットカーゴですから、先代モデルのオーナーでなくても、いったい何がどう変わったのか気になるとことですよね。

早速どう変わったのかチェックしたいところですが、まず、その前に「ハイゼットカーゴ」をはじめとしたハイゼットシリーズは、いったどんなクルマなのか簡単に説明します。

1960年の誕生から累計生産台数750万台
ダイハツのベストセラー軽ワンボックスバン

ハイゼットカーゴ
(引用:ダイハツ公式HP)

ハイゼットが誕生したのは1960年です。ダイハツ初の軽四輪車として誕生した記念碑的なクルマです。それから現在まで途切れることなくラインナップされ続けていきました。50年以上ロングセラーを重ね日本中で暮らしを支えるクルマとして使い倒され、愛されてきました。

商用車ですので、個人商店などでないとマイカーとして所有されていることはあまり多くはないかもしれませんが、郵便、宅配、食料品の配送など、皆さん毎日どこかでこのハイゼットにお世話になっているはずです。それに引っ越しの時のレンタカーや、ホームセンターのレンタルなどで運転したことはあるという方はきっと少なくないはず。

そんなハイゼットには軽トラックの「ハイゼットトラック」、そして今回紹介する軽ワンボックスバンの「ハイゼットカーゴ」、さらにハイゼットカーゴの乗用車モデル(今回の新型からは商用車に変わりました)である「アトレー」、そして、これらをベースとしたハイゼットデッキバンなどの特装車があります。

軽規格の変更に合わせてその車体はモデルチェンジごとに徐々に大きくはなってはいますが、先代と今回の新型に関しては規格に大きな変更がないので車体サイズは変わっていません。全長3395㎜×全幅1475㎜×全高1890㎜で、軽規格いっぱいの大きさです。新型の車重は890~940kgなので先代よりも20kgくらい重くなっていますが、これは安全装備などによるものでしょう。とにかく基本は軽自動車なのでコンパクトなのは間違いありません。

車体は重い荷物を積載してもしっかりと走ることができるように、エンジンを前席下に搭載し、後輪を駆動するキャブオーバー型となっており、狭い農道などでもトラクションをしっかり伝えながらきびきびと走ることができます。

1960年の誕生から、現在までその累計生産台数はなんと750万台以上! 日本の社会にとってはもはやなくてはならない働くクルマといっていいでしょう。そんなハイゼットシリーズがフルモデルチェンジを実施したのですからこれは大きなニュースです。

FR用の新しいCVTを開発
走行性能と燃費性能が大きく向上

ハイゼットカーゴ
(引用:ダイハツ公式HP)

ハイゼットカーゴは、ダイハツ最新のクルマですので様々な新しい技術が投入されています。例えば商用車初の「DNGA(Daihatsu New Global Architecture )」の採用がそうです。プラットフォームから一新して、燃費や静粛性、発進性等の基本性能を大きく向上させています。

そして、軽乗用車やコンパクトカーではおなじみとなったCVT(プーリーとベルトを使った無段変速機)をはじめてFRの軽商用車に採用したというのも大きな話題です。

軽の乗用車ではCVTはもはや当たり前ですが、それらはFFですので、そのままではハイゼットには使用できません。つまりハイゼットのためにわざわざFR用のCVTを新規に開発して採用したというわけです。もちろん5MTも引き続きラインナップされています。

軽ワンボックスというと耐久性の高いMTというイメージがありますが、優れた燃費やスムーズな走りにはやはりCVTのほうが適しています。とはいえ商用車は耐久性も求められるということから、従来のCVTよりも構造的な強度を高めることでより頑丈なものにして耐久性を高めているのです。CVTなら運転のストレスも軽減されますし、何といっても楽。

また燃費も向上しています。WLTCモード燃費は15.6km/Lで、このクラスの軽バンとしては優秀で、2022年度から小型貨物車に新しく適用される商用CAFE規制(企業別平均燃費基準)の基準値にも対応しています。

パワーユニットは水冷直列3気筒のガソリンエンジンで、NAとターボを設定。ターボエンジンの最大パワーは47kW[64PS]/5,700rpm、最大トルクは91N・m[9.3 kg・m]/2800rpm。NAエンジンは最大パワー34kW[46PS]/5,700rpm、最大トルクは60N・m[6.1 kg・m]/4000rpmとなっています。

他には、今どきのクルマには欠かせない最新の予防安全機能「スマートアシスト」ももちろん採用されています。

その機能は非常に充実しており、対車両・対歩行者に対応した衝突回避支援ブレーキ機能に衝突警報機能。さらに、ブレーキ制御付誤発進、車線逸脱警報と抑制制御。

また、ふらつき警報や認識支援に先行車発進お知らせ機能に加えて標識認識機能とAHB(オートハイビーム)が全グレードに標準装備となっています。毎日使うクルマだからこそ、こういった先進安全機能はとても重要ですからこれは素晴らしいといっていいでしょう。

ライバルのエブリィバンよりも
広い室内スペースを実現

ハイゼットカーゴ
(引用:ダイハツ公式HP)

そして、何より軽ワンボックスバンとして重要な広さはどうなのか。ハイゼットカーゴというと、ライバルであるスズキのエブリィバンと比べるとほんのわずかですが荷室が狭いとされていました。そのため軽キャンパーのベース車両としてもエブリィバンが選ばれるケースが多かったのですが新型はどうなのか? その寸法は以下です。

●ハイゼットカーゴ 2名乗車時荷室サイズ
荷室長1915mm×荷室幅1270mm(4名乗車時1410㎜)×荷室高1250mm。

●エブリィバン 2名乗車時荷室サイズ
荷室長1910mm×荷室幅1320mm(4名乗車時1385㎜)×荷室高1240mm。

比較してみると分かりますがわずかにハイゼットカーゴの方が大きい。ハイゼットカーゴは軽ワンボックスバンとして、荷室の長さと幅、さらに高さいずれもクラス最大となっています。5mm、10mm差ですが軽規格という限られた空間の中でこれだけのスペースを確保するのは容易なことではありません。それも最新の安全規格をクリアしつつですからすごい。

また単に荷室が広くなっただけでなく、ボディの側面やバックドアの傾きを限界まで立たせて、車体をスクエア化し開口部も広げているので荷物の積み下ろしなども、よりしやすくなっています。

さらに、なんと極限までスペースを確保するためバックドアも薄型化。リアワイパーをリアウインドウ上に移動するなど、極限までスペースを切り詰めている。ダイハツの意地を感じさせます。

おそらく新型ハイゼットカーゴはキャンピングカーとした場合もスクエアな室内空間の使い勝手はいいはず。エブリィバンの後塵を拝していた軽キャンパー市場でも、これら、シェアを拡大することになるのではないでしょうか。

スタイリングもおしゃれに進化
安全装備標準化で価格はわずかにアップ

ハイゼットカーゴ
(引用:ダイハツ公式HP)

見た目に関しても新型は非常にスタイリッシュです。商用のワンボックスバンですが、質感も高くそのスクエアなボディ形状はかえってクールに見える。

軽のスーパーハイトワゴンなどは、どちらかというとソフトな印象の女性的なスタイリングのクルマが多いですが、この質実剛健ともいえるかっちりとしたフォルムは魅力的に見えます。最近は軽トラや軽ワンボックスの改造も入っているので、カスタムのベースとしても人気を集めるかもしれません。

ダイハツからも、純正のオプションパーツを使用した「プレミアムスタイル」、「アクティブスタイル」の提案がなされています。

参考サイト:https://www.daihatsu.co.jp/accessory/cargo/dressup.htm#premia

仕事クルマとしてだけでなく、趣味のクルマとして購入して、車中泊仕様や、軽キャンピングカーとしてDIYで仕上げてみるのもきっと面白いでしょう。

気になる価格に関してですが104万5,000円~160万6,000円です。先代モデルでは100万円を切る最廉価グレードが設定されていましたが、新型は最廉価モデルでも100万円オーバーとなっています。

ただし、新型は全グレード先進安全装備が標準装備(先代の最廉価モデルは先進安全装備未装備)となっているので実質的な値上がり分は2万円ほどです。今どき新型となってこの価格アップは良心的ではないかと思います。

ヒット間違いなしの軽ワンボックスバンは
お得なカーリースでの利用も要検討

ハイゼットカーゴ
(引用:ダイハツ公式HP)

スタイリングに加え車体の方もプラットフォームからトランスミッションが改良され、さらに先進安全装備が全グレード標準装備となるなど、かなり力の入ったフルモデルチェンジとなったハイゼットカーゴ。エブリィバンとは長年激しい戦いを繰り広げてきましたが、このモデルチェンジでハイゼットカーゴが頭一つ抜けた感があります。

仕事用のクルマとしてはもちろんですが、軽キャンパーなどのレジャー用としても間違いなく人気車となることでしょう。CVTの採用で燃費や走行性能も向上していますし、なんといっても先進安全装備が標準となっている点は非常に魅力的です。仕事用に軽ワンボックスを必要とされている方にはおススメの一台と言っていいと思います。もし今ご使用の軽ワンボックスの買い替えを考えているのなら、ハイゼットカーゴは真っ先に検討するべきクルマといえます。

また、リースナブルでもハイゼットカーゴのリース車両を用意しています。よりお得にハイゼットカーゴを乗りたい、使いたいのなら、カーリースでの利用も是非検討してみてください。