トヨタを代表するハイブリッドカー、プリウスが2023年1月4代目へとモデルチェンジを果たしました。当初はハイブリッドモデルだけでしたが3月15日には待望のプラグインハイブリッド車(PHEV)が発売となり、スポーツカー並みのPHEVのパフォーマンスは大きな話題となりました。

新型プリウスで特に注目されたのはそのデザインです。従来のプリウスは燃費性能に全振りで空力性能を重視した結果見た目のカッコよさはイマイチ、といった印象が(オーナーの方には申し訳ありません)ありました。しかし、新型プリウスはまるでスポーツカーのような低い車高+ウェッジシェイプで一目見てカッコいいクルマに進化しています。燃費性能が圧倒的に高くて、エコで世間的なイメージも良いからプリウスを選ぶ、のではなく、単純にカッコいいセダンが欲しいから新型プリウスが欲しい!という方も増えているようです。

そんな新型プリウスですが見た目も良くなり動力性能が大きくアップしているのですから価格も当然のごとくアップしています。先代プリウスの最終モデルは260.8万円~355.7万円だったのですが新型プリウスの値段は、トヨタの公式サイト(https://toyota.jp/prius/?padid=from_prius_grade_navi_top)を確認すると3,200,000円~4,600,000円となっています。かなりお高くなっているという印象です。

公式サイトを見る限りエントリーグレードでも300万円をかるくオーバーです。先代プリウスならエントリーグレードが260万円で買えたのですが、こうして比べてみるとずいぶん高くなってしまったなあという印象があります。でも、この新型プリウスの価格、ちょっと注意が必要です。実はこれよりも安いグレードもちゃんと用意されているのです。それが「Xグレード」です。でもプリウスで検索してトヨタの公式サイトをチェックすると、このXグレードは掲載されていないように見えるのですがどうしてなのでしょう。

法人向けのビジネスグレードが
プリウスXグレード

プリウスXグレード
(引用:トヨタ公式HP)

実はこの新型プリウスのXグレード、トヨタの公式サイトでは以下のURLを見ればわかるように他のプリウスとは別枠扱いとなっています。

参考サイト:https://toyota.jp/prius/grade/xgrade/?padid=from_prius_top_sp-xgrade

独立した別のページに掲載されているため、注意しないと見逃してしまいます。プリウスのトップページからグレード一覧のボタンをクリックしてもこのXグレード表示されません

でも、なぜわざわざ別枠にしているのか。その理由はプリウスXグレードがビジネス向けのベーシックグレードだからです。個人のマイカー向けのモデルではなく法人の社用車などを対象としたグレードなのでわざわざ別枠にしているのですね。カタログも通常のプリウスのカタログには掲載されていません(Xグレードだけのカタログがあります)。なんでしょうトヨタさんとしては、安いプリウスは個人の方にあまり買ってほしくないのでしょうか。

でもこのXグレード別に法人だけのものではなく、個人でも買えないわけではありません。でもわざわざビジネスグレードを買う意味があるのか。実はXグレードには他のグレードのプリウスにはない大きな魅力があります。それは価格です。前述した公式サイトの新型プリウスの価格にはXグレードが含まれていないのですが、Xグレード価格はなんと2,750,000円です。

一般販売向けのプリウスのエントリーグレードは「G」ですがその価格は3,200,000円。Xグレードをそれと比べてなんと45万円も安い! 新型プリウスは欲しいけれど320万円~は高すぎる、と思っている方にとってこのXグレードの2,750,000円という価格はとても魅力的ではないでしょうか。なんたって見た目はクーペのようにスタイリッシュなデザインの新型プリウスなのは変わりありません。それでこの価格ならちょっと興味がわいてきませんか?

先代プリウスの1.8L版ハイブリッドを
引き継いだから価格が安い?

プリウスXグレード価格
(引用:トヨタ公式HP)

もちろんXグレードが安いのには理由があります。ただ、その安くなった理由に納得できればお買い得なのは間違いありません。では具体的にどんなポイントが他のグレードと違っているのか。まず、パワーユニットが違います。新型プリウスのハイブリッドシステムは先代プリウスのパワーユニットをブラッシュアップした1.8Lエンジン+モーター版と、次世代型の2 Lエンジン+モーター版があります。もちろん性能的には2L版のほうが優れています。しかしXグレードにはコスト的にも安い1.8L版のハイブリッドが搭載されています。

ちなみこの1.8L版ハイブリッドはXグレードともう一つUグレードに搭載されています。UグレードはトヨタサブスクサービスKINTO専用のグレードですので、一般ユーザーが購入することはできません(リース専用車なので)。つまり、新型プリウスの1.8L版ハイブリッド搭載モデルを買うとなった場合、選べるのはXグレード以外ないのです。通常は2L版ハイブリッドしか選択肢はありません。

では1.8L版ハイブリッドと2L版ハイブリッドはどれだけ性能が違うのか。動力性能を比べると2L版ハイブリッドがシステム出力(エンジンとモータの出力をあわせた出力)144kW(196PS)なのに対して1.8L版ハイブリッドのシステム出力は103kW(140PS)です。56馬力も違っています。

もちろん2L版ハイブリッドのほうがパフォーマンスは上です。56馬力といえばノンターボの軽自動車1台分ですから決して小さくはありません。試乗インプレなどを見てもその見た目通り2L版ハイブリッドを搭載する新型プリウスはかなり速いようで、走りのポテンシャルとしてはやはり次世代の2L版ハイブリッドのほうが優れています。

とはいえ1.8L版ハイブリッドも先代プリウスでは上級グレードにも搭載されていた優れたパワーユニットですので決して性能が低いわけではありません。システム出力103kW(140PS)であれば高速道路でも余裕ある走りが味わえるのは間違いありません。それに燃費に関しては実は1.8L版ハイブリッドのほうが優れています。それぞれの燃費を並べてみると以下になります。

●1.8L版ハイブリッド(Xグレード2WD)WLTCモード燃費
32.6km/L

●2L版ハイブリッド(Zグレード2WD)WLTCモード燃費
28.6km/L

このように1.8L版ハイブリッドのほうがリッター当たり4kmも低燃費となっています。この差は小さくありません。さすがXグレードは社用車などに使われる法人用がメインというだけあって経済性が重視されているのです。車両価格が安いうえ燃費にも優れている。となれば新型プリウスの中でも最もコスパに優れたグレードがXグレードといえるのではないでしょうか。

価格が安い分、装備内容は
やはり物足りない部分あり

プリウスXグレード欠点
(引用:トヨタ公式HP)

安くて燃費も良く動力性能だって悪くない。じゃあXグレードには欠点はないのかというと、やっぱりそんなことはありません。装備に関してはさすがに廉価グレードだけあって物足りない部分は少なくありません。

まずボディカラーはですがXグレードはシルバーとホワイトの2種類からしか選べません。Zグレードなら、プラチナホワイトパールマイカ、アッシュ、アティチュードブラックマイカ、エモーショナルレッドII、マスタード、ダークブルーといった、マイカ系など高級感ある5色が選べるのに対して、Xグレードはたったの2色です。それもいかにも社用車的な白とシルバーだけ。

内装に関してもシンプルなブラック一色で統一されており、インパネは各所にシルバー塗装は施されていますが、上級グレードはサテンメッキやフィルム加飾が施されていますし、ドアトリムなども上級グレードではソフトパッドになっているなど比べるとやっぱりXグレードは少しチープ感があります。

また、シート表皮はスタンダードなファブリック(Zグレードは合成皮革、Gグレードは上級ファブリック)となっていますし、シート機能は、運転席6wayマニュアル(前後スライド・リクライニング・シート上下)&助手席4wayマニュアル(前後スライド・リクライニング)です。Zグレードと比べるとかなりシンプルになっています。

タイヤ&ホイールに関してはミドルグレードのGグレードや上級グレードのZグレードが19インチの大径タイヤ+アルミホイールなのに対してXグレードは17インチタイヤ+スチールホイールとなっています。さすがにビジネスグレードです。見た目はチープになりますがこの辺は割り切っています。ただ17インチタイヤなのでグリップ性能は劣っても転がり抵抗も低くなっていますので燃費には有利です。また、交換となった場合も19インチタイヤよりも安く済むのでとても経済的。考え方によってはむしろメリットとなるかもしれません。

他には、他のグレードではディスプレイオーディオが標準装備になっているのに対して、Xグレードはオーディオレスが標準なので、別途ディーラーオプションのカーナビなど(ベーシックナビ NMZK-W73D他)を別途装着しないといけないのは気になります。こういった点はやっぱりビジネス向けグレードなのですね。もちろん割り切ってスマホをナビ代わりにするからいいというのであれば、それでも十分なのでしょう。

先進安全装備の内容は
上級グレードに比べても遜色なし

プリウスXグレード先進安全装備
(引用:トヨタ公式HP)

ただ、重要な先進安全装備に関しては全く劣っていません。「Toyota Safety Sense」はもちろんXグレードも標準装備で、昼夜の歩行者や自転車を検知するプリクラッシュセーフティシステムや全車速追従型のクルーズコントロール、ドライバー異常時対応システムといった基本的な先進安全装備は他のプリウスと変わらないのでその点は安心です。

こうしてXグレードの特徴をチェックしてみると、確かに装備面で物足りない部分はありますが、新型プリウスの中でもっとも燃費性能に優れ、コスパも良いグレードといってもいいかもしれません。なんといっても新型のプリウスの新車が275万円で買えるとなれば積極的に選びたくなる方もきっといるでしょう。ホイールやカーナビなど足りない装備は後からディーラーオプションや市販のアイテムで追加するということも可能ですし。

では結論として新型プリウスを買うならXグレードが一番のオススメなのか、というとこれはなかなか難しいところです。275万円はたしかに新型プリウスとしてはお手頃価格ですが、新車の価格として考えると正直安くはないですよね。

例えば、コスパに優れた最新のハイブリッドカーが欲しいなら、同じトヨタのアクアを選ぶという選択肢もあります。アクアなら価格は1,997,000円〜2,598,000円です。つまり最上級グレードのZグレードでも2,598,000円なので、プリウスの廉価グレードXグレードよりも安いということになります。

アクアの最上級グレードのZグレードなら、10.5インチのディスプレイオーディオも標準装備ですし、ドアトリムはピアノブラック加飾+合成皮革巻きオーナメント&ステッチ。シートもパワーシートはありませんが表皮は上級ファブリック。ステアリングだって本革巻+シルバー塗装(プリウスZグレードは合成皮革巻き)です。このように装備内容はかなり充実しています。

もちろん先進安全装備「Toyota Safety Sense」もプリウス同様に標準装備です。内容はプリクラッシュセーフティにレーントレーシングアシスト、全車速追従機能付レーダークルーズコントロールにオートマチックハイビーム、さらにロードサインアシストや先行車発進告知機能とパーキングサポートブレーキ(前後方静止物)もセットで装着されています。

プリウスのXグレードに標準となっている、ドライバー異常時対応システムやプロアクティブドライビングアシストなどが搭載されていませんし、駐車をサポートしてくれるトヨタ チームメイトや、シースルービュー&ムービングビュー付パノラミックビューモニターなどといったオプションの最新装備も設定されていません。そういった点では差別化がされています。

でもアクアはプリウスよりもクラスが下のコンパクトカーなのでそういった差別化は仕方がありません。室内スペースはプリウスとほぼ変わらない(室内高はむしろアクアのほうが余裕があります)ですし、乗車定員は同じです。荷室はさすがに車体の小さいアクアのほうが少ない(プリウスが410Lでアクアが291L)ですが、ハッチバックなのでいざというときは後席を畳んで荷室を広げることもできます。実用性ではさほど変わりません。

どうしてもデザインが格好いい新型プリウスじゃなくちゃイヤだ! というのでなければ、プリウスの最廉価グレードXグレードよりも安い価格で最上級グレードが購入できるアクアのほうがより魅力的ではないでしょうか。プリウスとアクアでは見た目も車格もちがうのでライバルとして比較するには無理があるかもしれませんが一考の余地は間違いなくあるでしょう。ついつい話題性のあるプリウスばかりに目が行ってしまいますが、アクアにも注目してみてください。

新型プリウスは納期が長期化
今から買うならアクアのほうが早く手に入る

新型プリウスは納期が長期化
(引用:トヨタ公式HP)

新型プリウスはそのスタイリッシュなデザインが大好評で、いま世界中でその注文が殺到しています。たしかに先代に比べると明らかに格好よくなりました。しかし、その分実用性(車内の広さなど)や燃費性能(新しいパワーユニットは燃費が悪化しています)は先代に比べると少し劣っている面もあります。

また、価格も最も安いビジネスグレードのXグレーでも275万円と高額ですし、人気車ゆえにその納期もかなり延びているようです。いろいろ調べるとプリウスはKINTO専用グレードのUグレード以外今注文しても納期は10カ月以上先となるようです。つまり今注文しても納車は来年の春ということ。

対してアクアなら、価格はプリウスよりも安くハイブリッドで燃費もプリウス以上に優秀。加えて納期も今注文すれば4~5カ月で手に入る(つまり年内納車が可能)ようです。プリウスの長納期が待てない、価格が高くて手を出しにくいという方は、是非アクアの購入を検討してみてください。

また、購入ではなくカーリースという選択もあります。例えばリースナブルではアクアのお得なリース車をご用意しています。それがこちらです。

参考サイト:https://leasonable.com/model/aqua/

最安コースなら月々6,600円(税込)×60回(5年)+ボーナス加算(年2回)20万4,600円で、アクアの新車に乗ることが可能です。5年プランだけでなく3年プランや9年プランなども用意されていますし、ギリギリの予算で新車のプリウスを購入するよりもリースで新車のアクアにお得に乗る方が、車検費用などもかかりませんし賢いといえるのではないでしょうか。もちろん新型プリウスが魅力的なのは間違いありませんが、リースで乗る新型アクアという選択も是非一度検討してみてはいかがでしょうか。